羽生ノート

羽生一家玉組座長・羽生まゆみが気儘に綴る日々雑感です。
初読み。さあ頼むよ雅紀(稽古場日記1)

始まった。

昨年の公演後、次まで一年半もあると余裕綽々だったのに、気付けば「あれ? 来週からサンタの稽古じゃん」とあせるのであった。慌てて集中した。なにしろ今回の稽古場は甘い顔はできん。ブスッとして過ごす。どっかの演出家みたいに罵倒しちゃうかもしれない。そもそも私を裏切った雅紀(6/27.28『激しく怒る´◆抻仮函砲箸11月半ばまで口をきかない覚悟である。

いかん、あっさりきいてしまった。前回Ericoのことを天才的に気が利くと書いたが、雅紀は天才的に人のふところに飛び込むのがうまい。ジャンプで飛び込む。「面白いお詫びの言葉」に、こっちはつい笑ってしまって、気付いたら向こうの思う壺にはまっていたという塩梅だ。ほんと、叶わない。

 

ホン読みは、読みぎらいの私にしては珍しく楽しかった。雅紀がヘロヘロでメチャクチャで、たくさん笑えたからだと思う。

読みはアダルトチームよりヤングチームの方が100倍上手かった。立ってもこの調子だといいのだが、若い役者は立つと急に相手の台詞を聞かなくなるからまだ安心はできん。「読み」は相手が喋っているとき同じ台詞を自分も心の中で喋るので、「台詞を聞く」と同じ作用が生まれ、そのせいで感情の流れを切らさずに済むのだろう。

安心はできないにしろ、しかし少なくともアダルトチームより滑舌は良く、それだけでもダメ出しのエネルギーが減ってありがたい。

 

通して読んで「やっぱりいいホンだなあ」と私は思ったが、役者らの顔に感慨はちらとも見えずガッカリした。絶賛の嵐かと思っていた。それとも役に不足でもあると言うのか。えらくなったもんだ。

まあ良い。今回は再演だからホンが良いことは最初からわかっている。

新作だとこうはいかない。ホンを書き終わった直後、自信満々なことはめったにない。自分では良いと思うが本当はどうなんだろうといつも不安である。だから昔は初読みで役者が喜ばないと「ダメだったか」とつらかった。初読みのあとの飲み会が気まずいこともしょっちゅうだった。感想を求められると困るので誰も私のとなりに座ろうとしないのだもの。

現在の主演、雅紀は少なくともそんなことはしない。なーも考えていないだけなのかもしれんが、とりあえず私を避けるようなことはしない。平気で私の隣に座る。それだけで私は救われる。

 

詩人の八歩は、アウトローが多い私の主役たちの中で、めずらしく知的文系キャラだ。(『プリンセスショック』の一条天皇も1000年前は和歌詠み得意の文系だったはずだが、私の芝居でよみがえった一条さんは和歌も詠まず、ただジメジメクヨクヨしているだけであった。)

今はまだ物語の内容がちんぷんかんぷんらしいが、犯罪者系キャラを演じてきた雅紀が今回、悩める詩人を立派に創ってくれると信じている。

| 羽生まゆみ | - | 23:47 | - | -
山に登る

山に行けるかチェックが入る日のトレーニングは、元気であることをめっちゃアピールした。この日はEricoが一緒でEricoがやっている間はインターバルが取れたから、病み上がりにしてはゲロゲロにならなかった。

ぴょんぴょん種目は特に激しくぴょんぴょんして、もう目が回らないことをアピールした。

トレーニングが終わって三人でご飯を食べた時も、本当はリゾットで充分だったのだが、いつもは食べないリヴステーキをここぞとばかりにほおばってやった。ガシガシ肉を食っている姿を見せつけておかねばと思ったのだ。

山に行きたいばっかりの、涙ぐましいアピールの数々であった。なんて可愛いんでしょ、私。

そんな努力が実って、どうやら連れて行ってもらえるようだった。

つい調子に乗って私は訊ねた。

「持ち物はなんだっけ?」

「はあー? さっきちゃんと言っただろっ。なんですぐ忘れるんだ、バカ!」

あーあ、結局怒られた。同じことを二度言うのが大嫌いなことを忘れていた。たしかに私、すぐ忘れるね。

 

その夜、Ericoからメールがきた。

「持ち物はペットボトル3本、おにぎり、お菓子(チョコ以外)。下山したらお蕎麦を食べる」

さすがである。天才的に気が利く。こうしてEricoは私を甘やかすのであった。

Ericoはヒロにも羽生を今後ともよろしくメールをしたようで、ヒロが「羽生さんよりよほどちゃんとしている」とほめていた。そんなことは20年前からわかっている。

 

そして念願叶って御岳山。

幸い目も回らず、行って本当に良かった。山にはずっと登りたかった。前のスタジオでも登山はあったのだが、私は登山に限らずほとんどのリクレーションに参加してこなかった。スケジュール的に都合がつかなかったのもあるし、それよりなにより例の人見知りが私を臆病にしていたのである。

電車を降りると、はっきり山の匂いの中に居た。感動して早くも泣きそうになる。前日は雨だったのか、それとも霧のせいか、濡れた木々が美しくきらめいていた。ぬかるんだ登山道を歩く。面白い。危険な場所は特に面白い。油断したら谷に転げ落ちそうな崖沿いの道とか、四つん這いになって這い上がる岩場とかがね。

「これよこれこれ、これが山。山感がすごい!」

大はしゃぎの私であった。

初心者なので先頭を歩かされた。後ろがちゃんとついてきているか、時々確認のために振り返ると、「自分のことだけ心配してろ!」とヒロに怒られた。なんだよっ、山でも怒られるのか。

なんちゃってボーイフレンドのオーナーに、「ずっと怒られてるんだけど、私」と言いつけたが、軽くいなされただけだった。ふん、やっぱり「なんちゃって」はダメだね。

3時間ほどで大岳山の頂上に着いた。

 

左膝が痛くなったことを除けば、立派な山デビューであった。

| 羽生まゆみ | - | 01:11 | - | -
山に登る

スタジオのリクレーションで山へ登った。御岳山である。おとなりの大岳山もね。(御岳山から大岳山へつながるコースを登ったの。)

登山は初の体験である。数年前に高尾山へ登ったことがあるが、このときは登山ではなくて降山であった。高尾山の場合ケーブルカーやリフトに乗って途中まで行っちゃうと、残り山頂まではほとんど小学生の遠足コースである。下山は最初から最後まで立派に歩いたが、これはけっこう歩き甲斐もあったし、谷川に添った山歩きはとても楽しかった。なので登山じゃなくて降山。

私がどれだけ森を愛しているかは、私の芝居をご覧になっている方々はよくご存知であろう。多くが、つーかほとんどの作品に森が描かれている。

私の森愛は家族もよく知っておるところで、いつだったか「宝くじを当てたら山を買う」と宣言して、母から「どうせすぐ竹藪になる。竹藪になったら手が付けられんけん」とリアルな反対意見をくらったこともある。

 

しかし念願叶った初登山のこの日、私の小さな胸は不安でいっぱいであった。実は数日前に目まいと嘔吐に見舞われ、救急病院へ運ばれたばかりだったからである。で、翌日受けた耳鼻科の検査で「メニエールと思われる。但しまだ確定ではない」と診断された。

目まいと嘔吐と低音難聴がそろうとメニエールなんだってさ。今私の耳は低音が聞こえていないらしい。役者の皆さん、私の悪口は低音域でしゃべれば大丈夫だよ。

 

翌日のトレーニングは悔しながらキャンセルであった。しぶしぶキャンセルメールを打った。しかし山もキャンセルだと思われては困るのでアピールしておいた。

「山には行きます。治すから大丈夫」

返信は、

「俺が決める」

やっぱり。ま、そりゃそうだな。気持ちがドヨ〜ンと暗くとなった。

「大丈夫」とは言ってみたものの、この時点では山どころか今後の人生が危ぶまれる状況であった。なにしろぐるんぐるん目が回って吐くという怖ろしいことになっており、こんな発作にしょっちゅう襲われていたら今後どうやって生きていけばいいのかわからない、てな感じだったのである。

幸い、三日我慢したら目まいは治った。げんきんなもので、あっさり「山、山ァ。山へ行くぞーッ」であった。

となると問題は家族である。さんざん心配をかけ、梨やらリンゴやらの皮をむかせ、ポカリスエットを冷蔵庫に常備させ、「ぎもぢわるーい」とわめき散らしていたというのに、「山に登る」なんて言ったらきっと怒る。

というわけでこっそり出かけた。朝5時に家を出るときは音をたてないように忍び足であった。あー情けない。これが大人のやることか。まるで高校生だね。

 

つづく

| 羽生まゆみ | - | 00:53 | - | -
Ericoとヒロトレ(体幹トレ日記88)

「劇団員を見てやるから誰か連れてきてもいいよ」

願ってもいないヒロからの申し出である。

というわけで、Ericoを差し出すことにした。

「うちで一番身体が動く。男子はへなちょこばっかだから」

Ericoを選んだのは当然とはいえ、しかしこれでEricoがムキムキになったらチョー悔しい。まさか一回のトレーニングでムキムキになることはないとは思うが、Ericoはすぐに筋肉がつく体質だから油断はできないのである。

たくさんほめられていた。やっぱり勘がいいから、正しく身体を動かすことができるのだ。私は「勘が悪い」だの「センスがない」だの言われ続けてきた3年間(途中半年ブランクがあるけど)であった。

しかもちっともハアハア息があがらないし。そんなわけはない。きっといつもの私のトレーニングより軽めだったんだわ。と思うことにして自分をなぐさめた。

さて、Ericoとやったこの日の種目はこのまま玉組のウォームアップとして使われる。Ericoを差し出した私の目的のひとつがこれだったのだ。あまりにもへなちょこな玉組ウォームアップをなんとかせねばならんと常々思っていたからね。

 

ちなみに昨日のトレーニングは、Ericoとやった玉組ウォームアップのおさらいだった。いやあ、きつかった。途中で一回吐いた。まともにやったら吐くほどの種目ということだ。大丈夫かなあ、うちのへなちょこ男優たちには絶対無理なような気がする。

Erico、いっちゃん最初にやったぴょんぴょん種目、あれナメていたらとんでもないことになるよ。昨日は太腿とお尻が割れそうになったもん。

 

Ericoと一緒のトレーニングを終えて、この日は私たちが最後の客だったから掃除を手伝わせられた。

「はい、これで更衣室を掃除して」

ダイソンの掃除機を渡されたのだ。

私が一瞬きょとんとするともちろんEricoが「私が」と言った。

当然のように私が掃除機を渡そうとすると、

「ダメ。羽生さんがやるの」

許してもらえなかった。

くっそー、役者の前で私を屈辱的な目に遭わせて喜んでいるのだ。なんてやつだ。私はバラシのときだって楽屋にでんと座ったまま、小指一本動かさずダラダラしている人だぞ。掃除している姿など役者に見られたくない。しかも掃除している間、どうやら二人で私の悪口を言っていたようである。掃除機の音がうるさくて何を喋っているか聞こえなかったのが残念だ。

 

それから三人でご飯を食べた。無料でトレーニングしてもらったので、せめてご飯くらいはご馳走せねばね。サイゼリアだけど。

ヒロはサラダやピザの他に「若鶏のディアボラ風」を2つオーダーした。びっくりした。私もこの年だからそこそこ男子とご飯も食べてきたが、こんな人は初めてである。

そういえば昔ドトールで、ちょうどカウンターでミラノサンドを受け取っていたヒロとばったり会ったことがある。

「これ羽生さんにあげる」

コーヒーをオーダーしていた私にミラノサンドのお皿を滑らせて、それから彼はオーナーと一緒に喫煙席へ消えた。

私はコーヒーを受け取りながら、顔見知りの店長に訊いた。

「何? 二つ頼んでたの?」

店長は答えた。

「いえ、三つです」

ええーっ。三つ!(オーナーとあわせてじゃないよ。一人で三つだよ)

この時もかなりびっくりした。

「さすがだわ」

私が唸ると、店長も重々しく頷いたものである。

 

私も、ガツガツ食べる女になりたい。チキンの皿を二つ並べてみたい。

| 羽生まゆみ | 体幹トレ日記 | 23:39 | - | -
劇団ピンクノイズ

新しく立ち揚がった劇団Pink Noise(ピンクノイズ)のお手伝いをすることになった。

主催の菅原亜郎くんは『プリンセス・ショック』のさいに知り合った、新進気鋭のプロデュサーである。まずネットでEricoを見つけて関係が復活し、その後私も再会とあいなった。

菅原くんは「大道具他いろいろ」的なスタッフで玉組の公演に参加したのだが、そりゃあもう優秀な青年だった。

私は朝の劇場が好きである。当時は役者より早くコヤに入り、客席でコーヒーを飲みながら舞台セットを眺めるのを日課としていた。『プリンセスショック』のとき、私が眺める朝の舞台には、いつも彼が居た。ナグリを手に、セットをチェックしていたのだ。壊れている箇所はないか、釘の頭は飛び出ていないかってね。何度も階段を上がったり降りたりしていた姿を印象深く覚えている。

彼の名前も顔も実は忘れていたのだが、その朝の光景はなにかにつけ思い出していた。だからEricoから菅原くんの話が出た時、間髪入れず「覚えているよ」と言うことができたのである。

再会した瞬間、顔も思い出した。12年ぶりに会った青年は良い顔をしていて、この12年、彼は良い人生を送ってきたのだとわかって嬉しかった。この日、新宿のタイ料理レストランでご馳走になった。これも嬉しかった。私にご馳走してくれる年下男子はとんとおらんけんね。急に話が変わるけど、これは私のおおいなる不満で、「年下だからって遠慮することはない! たまにはご馳走しろ!」とわめきたい。

 

私がどれだけお役に立てるのかわからない。私はただ一方的に、若い役者たちと仕事ができるのが嬉しいだけだ。

今月、初顔合わせを兼ねて稽古をする。『オバケのイヴイヴ』をテキストにしようと思って直しを入れた。このホンを読むと、私が今どれだけややこしいホンを書いているかよくわかる。反省せねばと反省した。

イヴイヴは単純でわかりやすい。キャラの描き方といい、構成といい、芝居のホンの「基本」が詰まった作品だわと、苦笑しつつそう思った。稽古するからにはもちろん上演を狙っている。稽古だけなんて面白くもなんともないじゃん。いずれ菅原くんの顔色を伺いながら談判せねばね。今はまだムリ。人見知り真っ最中だから。あと50回会えば談判できそうな気がする。

 

そしてもちろん新作を書かねば! なにしろ20歳から34歳までの男優4人が所属劇団員である。私の腕がボキボキカタカタ鳴りまくっていることは、玉組と私を知る大勢のみなさんが、「はいはい。でしょうね」とうなずくところであろう。

私が仲間に加わったのは、ピンクノイズが「劇団」だからだ。「その場限りでバイバイよ集団」ではないからだ。私自身が劇団と一緒に成長できる可能性があるからだ。

どのようなかかわり方になるのかまだ輪郭がはっきりしていないが、私は私のできること、つまり「ホンを書いて役者に稽古をつける」をただやるのみである。そこから次の展開が拓けてくるだろう。

 

まずは、役者たちと馴染みたい。役者たちが私と気安く喋ってくれるといいな。

 

| 羽生まゆみ | - | 05:02 | - | -
初演出と演助について

Yahoo! JAPANであれやこれやの不倫騒動を楽しく読んでいた日々、突然、鈴木砂羽演出の舞台で降板騒ぎがあったというニュースにぶち当たった。これはお気楽に楽しんでいた不倫騒動と違って身につまされる大事件である。襟を正してネットサーフィンにおよび、またTVの情報番組をチェックしたりした。

すでに降板した女優の所属事務所は矛を収め、事件は収束に向かっているようである。私はたまたまフジテレビの情報番組に出演している事務所社長を拝見したのだが、悪い顔はしておらず、また落ち着いた話しぶりで、想像していた「ヤクザな芸能プロの社長」とはだいぶ様子が違っていた。早々と矛を収めたところを見ても、ヤクザな人ではないのだろう。

出演していた高橋克実が舞台人として至極まっとうな意見を言っていて、なかなかの説得力であった。

 

何が起こったのか具体的なことはわからずとも、私のようにしょーもない芝居にいっぱい出てきた人間には、どんな稽古場だったのかなんとなく想像できる。

あんまり触れられていなかったが、どうも演出助手に問題があったようだ。演出経験のない鈴木さんは稽古場に乗り込むにあたって心細かったのだろう、「演劇に詳しい」自分の知り合いを演助として連れていったらしい。そしてその気合いの入り過ぎた演助が跳ねたのではなかろうか。

鈴木さんは経験不足で自信がないから演劇に詳しい演助を頼り、演助の意見に添っていろんなことが決められていく。役者が演助に何か言えば、それは演助の意見付で演出に伝わる。当然そこには誤解が生まれる。そんなことだったのだろう。

 

玉組には過去「演助」という専門職が四人居た。

初代と二代目は、役者の恋人を劇団員にしてこき使っていたという感じなのでひとまず置いておく。

三代目はアヤちゃんで、これはもう、こんな優秀な演助はめったに居るもんじゃない。出しゃばらず、立ち居振る舞いも素晴らしく、私を恐れず、仕事は優秀だった。私の愚痴を自分の意見付で外へ漏らすようなこともなかった。私が怒って稽古場を飛び出すと、私が駅までの道を間違わないか、そっと後ろを歩いてくれるような人だった。

四代目はヘンナヤツとしか言いようのないヘンナヤツだったが、ヘンゆえに私は愛した。ゲネの最中にダメ取りをせずに居眠りしていたから、パコーンと殴ってやったことがある。モミー、今どうしているのかなあ。会いたいよ。

公演形態がプロデュースになってからは、玉組フレンズとエアポート、それから役者の麻理枝やEricoが演助の仕事も兼ねて今日までやってきた。うちの演助たちは鈴木さんとこの演助と違って、私ではなく役者の味方だ。そもそも何か問題が持ち上がっても私に注進さえしない。「私の耳に余計なことを入れるな」と私に怒られるし、第一私に解決能力がないことをよく知っているからである。

 

土下座があったかなかったかなんてどうでもいいが、事務所社長が匂わせていた「降板したのではなく、降板させられた」は嘘だと思う。

本番二日前に演出の方から降板させるなんてありえない。私なんぞ、役者が二日前に降板するなどと言い出したら、内心の怒りを押し隠してそれこそ土下座も厭わないね。「私に不満があるなら好きなだけ殴ってくれ」と言う。靴だって舐める。「芝居をする必要はない。とにかく舞台に立って喋ってくれさえすればそれでいい」と頼む。そして心の中で、「本番が終わったら必ず復讐してやる。ぶっ殺してやる」と、神と悪魔に誓う。

一方、鈴木さんがインタビューに答えて「罵倒はなかった」と言っていたが、これも嘘だ。あったに決まっている。

鈴木さんが良い演出家でなかったことは想像できる。高橋克実だって口にこそ出さなかったがそれは見抜いているに違いない。みんな見抜いている。だから鈴木さんは今回うまく切り抜けたからと言って調子に乗らない方がいい。今は謙虚に、自分の演出家としての才能を見極める時である。

 

私は初演出のとき罵倒なんかしなかったよ。ホントだよ。

ご飯が食べられなくて、よく吐いていた。初演出とはそういうもんだと思う。

| 羽生まゆみ | - | 04:43 | - | -
スマホにどっぷり

「まるで女子高生のようだ」

家族にバカにされている。

スマホのラインスタンプを買ったりしているからである。

与えられたばかりのオモチャで遊ぶのは楽しい。失敗を重ねながらも徐々に腕は上がっている。昨日はラインスタンプのプレビュー設定を新宿〜京王永山でやってのけた。なにしろまったく関係のないスタンプを、思いもよらない人に送り付けたりしてしまうのだ。これはまずい。しかし絶対解決策があるはずだと思ってピコピコやっていたら見つけた。さすが私、デキル女はスマホだって征服してしまう。というわけでもう大丈夫。

この間なんか矢野力に、『ひま?』なんつー、まるで何か誘っているようなスタンプを送ってしまいチョーあせった。

その前になぜか突然電話がかかってしまい、「今のは間違い」とラインメールしようとしたら「ひま?」になってしまったのである。わけわからん。電話からの「ひま?」で、矢野さんはさぞビビったであろう。

矢野さんへの間違いがやたら多いのは、彼のラインショートカットがホーム画面にあるのと無関係ではないと思われる。これもなぜあるのかわからんのである。突然出現した。気づいたら産まれていたのだ。家族のも麻理枝のもないのに、矢野さんだけまるで「カレシの連絡先」のようにホーム画面に鎮座している状態である。

これも想像だが、撮影の打合せでたくさんやり取りをしたので、その操作の間に私がなにかやっちまったのだろう。そして、これをどう動かせばいいものやら、今の私にはなす術がない。しばらく「カレシの連絡先」でいてもらおう。

 

あと、カレンダーアプリも取得した。元々入っているものが使いにくかったという、「プロだ!」とほめてもらってもいい理由である。今、稽古スケジュールをちょびちょび入れているところである。場所の欄に稽古場を入力すると、同時に地図やナビと連動するので、もう私に迷子の心配はない。すばらしい。なんでもっと早くスマホにしなかったのだろう。

それからウィジェットというのがいったい何者かわからず、ホーム画面に出てくるのがめっちゃうっとうしかったのだが、これも解決と同時に「便利じゃん」と感動した。これを利用して、ホーム画面に「今日のスケジュール」が常時出るようにした。スケジュールはもちろん、メモ欄に「100均で霧吹きを買うこと」なんてことが書いてある。すばらしい。今日は100均に行くのを忘れないぞ。

こんなふうだから電車の中でも喫茶店でも本をまったく読まなくなった。本を読むのは食事をしているときだけである。どうして食事のときはスマホをいじらないのだ、と言われそうだが、さすがに片手操作という難易度の高いことが私にはまだできないからだ。「右手に箸、左手にスマホ」という姿に憧れる。かっこいいなあ。

そうそう、麻理枝が「今回の出演者でラインチームがある」と言っていた。みんなで衣装の打合せなどをしていると言う。

「なにそれ。私もさっそく入れてよ。仲間になりたい」

「ダメですよ。羽生さんが口挟んできたらみんな何も言えなくなります」

なるほど。一理ある。

 

あとトミーがまだガラケーだから、初読みの日に自慢しよーっと。

「お先に」と、言いたい。

 

 

| 羽生まゆみ | - | 13:28 | - | -
ぐいぐいチンニング(体幹トレ日記87)

この頃トレーニングのことを書いていないので、ついに羽生もやる気を失ってきたかと思ったら大間違いなのである。週3回、きっちり通ってひぃひぃ言っている。気付けばどこかに青あざがある。筋肉痛から解放されることもない。

きついのに楽しい。日常の中でへこむことがあっても、身体を苛めれば蘇ることができる。不思議である。人生最大のピンチに陥ったときも、トレーニングのおかげで乗り切ったような気がする。汗みどろでプッシュアップをやりきれば、その瞬間「強さ」を意識できるのだ。強くなりたい。ただ強くなりたい。もはやそのためだけにやっている。

ぐいぐいチンニングができて、びしばしミットが打てて、がしがし歩いてがつがつ食べたい。

 

二週続けてオーナーと一緒にトレーニングを受けた。競争は燃える。オーナーは私の「勝手にボーイフレンド」の一人だが、たとえボーイフレンドでも負けたくない。私は男子の後ろを三歩下がって歩く女ではないぞ。

もっともオーナーはヒロがあちらのスタジオを退社して以来トレーニングをさぼっていたようで、一緒にやってみるとへなちょこ感がドボドボあふれ出ていた。

ミット打ちを1セット交替でひたすらやり続けるという過酷な種目があったのだが、途中から「ええーっ、まだやるの」とか「もうやめよう」などと弱音を吐き始めてチョー面白かった。(私が同じことを言おうものならミットで頭をパコーンとやられるか、場合によっては蹴られる)

こちらの番のときはあちらがインターバルである。0.1秒でもインターバルを短くしてやると思うと、めっちゃ早いパンチが出るね。私の方はいつもの倍速のワンツーストレートだった。休ませてなるもんか、であった。

 

あー楽しかった。オーナー、他の会員とも一緒にトレーニングすることあるのかなあ。勝手にガールフレンドとしては嫉妬するではないか。

ともかくオーナーが一緒だと、ヒロに怒鳴られるのはいつもと同じでも、マジ切れされることがないので安心できる。たぶん稽古場に見学者が居るときの役者の心理と同じである。見学者が居れば私もさすがにバクハツしないからね。

だからスタジオへ入ってオーナーが居るとホッとする。「じゃあお先に」なんて帰ろうとすると「ええーっ、今日はやんないの?」と腰にしがみつきたくなるくらいだ。

 

なにしろトレーニング中のマジ切れがいっちゃん堪える。

自分ができないことを思い知らされるからだと思う。

| 羽生まゆみ | 体幹トレ日記 | 08:06 | - | -
『兄貴のきれいな奥さんは、内気な俺には強すぎて』

2作目の撮影に参加してきた。今回もステキなタイトルだ。ストーリーそのまんまである。

前回に比べていくらか台詞が出るようになった。出ないときは勝手に作った。即興で台詞を作るのは役者時代にさんざんエチュード芝居でやってきたのに、前回どうしてできなかったのだろう。くやしいなあ。

2回目で緊張が解けた分、すっごく楽しかった。スタイリストさんや「兄貴のきれいな奥さん」役の女優さんがたくさんほめてくれたし。自分じゃあんまりいいとも思わなかったのだが‥‥‥なにしろ撮影前にたてた作戦の10分の1も実行できなかった。

初体験は弱いけど、弱いなりに新しい経験や新しい出会いは心がわくっとするね。今後宣材用プロフィールには堂々と「女優」と書くつもりだ。「近年、映像作品への出演が続いている」と書くし、代表作は『兄貴のきれいな奥さんは、内気な俺には強すぎて』にする。タイトルを比べると『新婚未亡人・一つ屋根の下で親子丼』よりいくらかエロエロ度が小さい気がするからだ。

ん? そうでもない?

 

現場へ行くとたっちゃんが居た。どうやら「内気な俺」の役らしい。

「あっ、今日もたっちゃんだ!」

私が喜んだら、たっちゃんがステキな笑顔で「おはようございます」と言ってくれた。あーよかった。前回は私が何者かわからず警戒していただけだったのね。

連絡先を教えてほしいと頼んだら、(心を入れ替えて、この頃積極的にお友達の輪を広げている。)

「いいですよ」

「私ね、最近スマホに替えたばかりでどうやってライン登録するかわかんないの」

甘えたらさくさくやってくれた。若い子はこうでなくちゃいけない。(前回、みゆきちゃんもやってくれた。みんな良い子だ)

出番待ちの際、今回はたっちゃんの方からイロイロ話しかけてくれた。慣れるとざっくばらんなタイプである。ちっとも「内気」なんかじゃなかった。

「羽生さん、大竹しのぶに似てますよね」

なんてことまで言うのだ。

大竹しのぶに似ていると言われると、なにしろ「勝手にライバル」の相手だから複雑である。そっけなく返事をした。

「そう?」

「この前初見のときに、ぱっと見た瞬間思いました。みんなに言われません?」

「先月も言われた」

「やっぱり。二人とも大御所感がハンパないですよね」

笑った。撮影という馴染みのない場所で、自分ではかなりキョトキョトヘコヘコ状態だったのだが、醸し出る大御所感は止められなかったらしい。さすが私である。

 

というわけで楽しい二日間でした。いつもお世話になっている矢野力に少しでも恩が返せるならと思って参加したのだが、恩はちっとも返せないまま楽しいだけで終わってしまった。

そして近く『サンタクロース〜』の写真をお願いしなくては。今回は当パンや舞台写真の他にも小道具のカレンダーに写真が必要だし、恩の負債は積み上がるばかりである。

ごめん。

| 羽生まゆみ | - | 03:36 | - | -
『新婚未亡人・一つ屋根の下で親子丼』

なんともステキなタイトルのVシネマに出演した。

オファーがあったことは軽く触れた思うが(7/17『絶好調』)いよいよ撮影であった。エロエロ映像の現場なんて初めての経験である。監督の矢野力から「ほんとに大丈夫?」などと心配げなラインメールがあったりしたが、私だってハタチの小娘じゃないんだから、おっぱいの1個や2個でオタオタするわけがない。どんと来いである。

ホンは数日前に送られてきた。台詞のある5人の登場人物のうち脱がないのは私だけである。ふん、失礼なっ。

と憤慨したが、しかしよく読むとたいへん良い役である。芝居でもよく言われる「おいしい役」ではないか。

ちなみに、2作目のホンが昨夜送られてきたが、こっちもおいしい役だった。で、わかったのは、エロエロ映像では脱がない役の方がおいしいということである。エロエロシーン満載の中にあって箸休め的存在なのだ。

もっとも脱いでいないからファンは獲得できないなあ。(オバサン役の私のことが好きになって、頭の中で私のお洋服を脱がしてイロイロ想像するという人が居てくれたら嬉しいが、そんな人は確実にヘンタイであろう)

 

撮影の現場は杉並区にあるスタジオであった。元はお金持ちの邸宅と思われる一軒家で、全てのシーンをそこで撮影することができるのである。ホンを読んで、私が出演するフィットネススタジオのシーンなんてどうするんだろうと疑問だったのだが、ちゃんとお家の中に鏡張りのスタジオがあった。ヒロインが結婚式をあげる教会まであった。びっくりした。こういうのを見ると、やっぱり東京だなあと思ったりする。

さて、撮影である。

台詞が出なくてボーゼンとした。ありえない。いくらなんでもひどすぎる。うろ覚えの台詞はともかく、完璧に覚えたはずの台詞まで、いざ撮影が始まると出てこないのだ。ああっ、稽古したい! と思った。

映像の役者さんはすごい。稽古どころか台詞合わせもやらないのにすいすい台詞が出る。自然なお芝居をする。

みんなに迷惑をかけてホントへこんだ。

矢野さんにも叱られるし。

「台詞出なくていいから、自分で『もう一回』と言ってやり直すのはやめて」

得意の「もう一回」を止められてしまったよ。こんな私、役者たちには絶対見せられない。矢野さんに固く口止めしておいた。

家で台詞を覚えながらあーしようこーしようとステキなアイデアを色々思いついていたのだが、そもそも台詞が出ないので何もできなかった。あーくやしい。

というわけで2作目は何も考えない。台詞も一言一句間違わないよう完璧に覚えるのではなく、雰囲気を覚えることにした。その方がたぶん台詞は自然なかんじで出る。

『親子丼』の失敗は「緊張」にあったと思う。緊張していては台詞が出るわけない。次回はリラックスして臨みたい。

 

そんな中でも、役者さんやスタッフさんとお友達になって楽しかった。

ヒロインのみゆきちゃんとはライン仲間になった。とってもかわいくて良いお嬢さんなの。

みゆきちゃんの相手役である若い男優さんともお友達になりたかったのだが、ラインまではたどり着けなかった。なにしろ私と目を合わせようともしないのだ。私の出番前、一計を案じて言った。

「たっちゃん、私、眉毛が消えていない?」

たっちゃんはチラッと私に視線を走らせると、きっぱり言った。

「大丈夫です。あります」

目は合わなかったが、そのすぐ上の眉毛を見てくれたのは確かである。なんだか楽しくなった。いい子だ。

帰るときに「たっちゃん、おつかれさま」と言ったら、このときは私をしっかり見て、しかも笑顔で「おつかれさま」と返してくれた。心がほんわりした。

制作会社のスタッフの皆さんもこんな私に気を遣ってくださって、文句なしに良い方たちだった。なのに私ったら、出来が悪くて本当にごめんなさい。

こうなったらぜひとも私の芝居を観に来てほしい。名誉を挽回したい。私は女優じゃないもの。演出家だもの。脚本家だもの。

そんな言い訳を心の中でしながら帰宅した。ほとんど夜中近くになっていた。寝る前にレトルトの親子丼を食べた。撮影に使って余った品を、スタッフの方が持たせてくれたのだ。おいしかった。

 

やっと、緊張が解けていた。

| 羽生まゆみ | - | 00:17 | - | -
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