羽生ノート

羽生一家玉組座長・羽生まゆみが気儘に綴る日々雑感です。
いきなり月謝の話から(練習生日記5)

前回生け花のことを話題にしたら本気で習いたくなって、ご近所に生け花教室がないか調べた。で、あったけどお月謝がお高いわ。材料費(花代)がかかるからね。その点ボクシングはお安い。私は週3で通っているから1回あたりの単価が、ランチタイムのミックスフライ定食より安いくらいである。申し訳ないお値段だ。

というわけで生け花はあきらめて、当分ボクシングとお習字に集中しよう。つーか床の間のある家に住んでいるわけでもないのに、お花の腕がどれほど役に立つか不明である。

ボクシングは私に向いていると思う。練習がとっても楽しい。そもそも私は筋トレも夢中になったくらいで、基本、身体を動かすことが生来好きなのだと思う。芝居なんかやらずに運動選手になればよかった。

10年以上になるフィットネスクラブ通いも休まず頑張っている。先だってマーシャルの手が覚えられないと愚痴ったばかりだが、早くも勘を取り戻しつつある。戦いに没頭するあまり、つい「ヤッ」とか「エイッ」とか声が出てしまうので気を付けなくてはならない。まわりのマダム達に引かれること請け合いである。

ボクシングジムでも、引かれないようなるたけ目立たないようにしている。みなさまに好かれる羽生でありたいと思って、フィットネスクラブや他の場所ではガンガン飛ばしている「話しかけるなよオーラ」も引っ込めている。でも飛ばさなくてもあんまり話しかけられないのでオーラは関係なかったようだ。

早く上手になりたいなあ。まわりはみんな上手だ。指導が上手いのはもちろんだが、男の子というのは元々格闘技好きのDNAを持っているのだろうね。太古の昔から、食物を得るために、血統を残すために、男は戦わなくてはならなかったから。

ゴローやゲットなど若い俳優陣も、芝居はヘタなのに木剣を持たせると急にサムライになったものだ。でも私は男の子のそういうところが好きだ。男の子はやっぱり戦わなくちゃいけない。腕力はないよりある方がいいに決まっている。いざという時相手を殴り飛ばせなくてどうする、と思う。

まずい。こういうこと書くから、なかなか「みなさまに好かれる羽生」になれないのね。

 

芝居ネタがなんにもない。とことんやる気が湧かないらしい。

『シリウス〜』からすでに3ヶ月もたってしまった。Ericoは10日から早3本目の稽古が始まる。芝居漬けの日々かあ。うらやましくもなんともないな。

| 羽生まゆみ | 練習生日記 | 22:57 | - | -
セコンド(練習生日記4)

『シリウス〜』の稽古期間は一ヶ月ちょいしかなかったので、休みがほとんどなかった。息もつかずぐわーっと入り込んでいたから、稽古も終わり近くになった頃、急に不安になった。

「公演が終わったら何をしていいのかわからない」

私が心配を口にすると、Ericoは言った。

「ボクシングがあるじゃないですか」

まあ、そうだけど‥‥

Ericoが笑いながら言った。

「試合のときは私と純一でセコンドにつきます」

勝手に決められた純一が驚いて言った。

「ゴングと同時にタオル入れていいならやりますけど」

私のボクシング姿が痛々しくて見ていられないらしい。

ふん、失礼な。

 

ボクシングの練習はさっそく再開した。

先日トレーナーにマスボクシングを指示されて仰天した。

マスボクシングとは、本気を出さずに寸止めで行うスパーリングのことである。ときどきやっているのを見たことがあるが、マイシューズやマイグローブを持っているような上級者がやるものだと思っていた。

やだあ。恐いというより恥ずかしい。こんな初心者なのに。

相手は上級者の壮年男子である。シューズやグローブがマイであることはもちろん、バンデージも私のようなスポッと装着する簡易タイプではなく本物である。ぐるぐる巻くやつ。

「ナントカさん、羽生さん始めたばっかりだからよろしく」

トレーナーがそう言うと、ナントカさんは私ににっこり笑いかけてくれた。あー良かった。睨みつけられたら(タイトルマッチでありがちなやつね。記者会見のときなんかにやるやつ)どうしようかと思っていた。

リングに上がり、ブザーと同時に3分間のスパが始まった。ジャブとストレートとフックしか持っていない私にどうしろって言うのよーォ、と思ったが心配無用だった。せっかく持っているフックを使用するチャンスさえ無かった。ジャブとストレートを交互にくり出すだけの、ほとんど幼稚園児のケンカ状態であった。純一が居たら絶対にタオル投げられていたと思う。

セコンドからトレーナーの声が飛び、それはちゃんと聞こえた。

「四つ打て!」とか「二つ!」とか、「下に飛び込んで!」とか「足動かす!」などの指示である。「まじ、ボクシングだ」と思って感動した。

1ラウンドだけのスパだったけどけっこう息が上がった。ひどいデキだったから、たぶんしばらくやらせてもらえないだろうなあ。

よーし、またやらせてもらえるように頑張るぞと、決意新たな私であった。激を飛ばされるのが好きなのだとつくづく思う。もっと怒られたい。

 

すべての練習が終わってお水を飲んでいたら、ナントカさんが話しかけてくれた。

「初心者とは思えない良いパンチでしたよ」

「ええっ、ほんとですか?」

やだあ、嬉しいじゃん。怒られるのも好きだけど褒められるのはもっと好きだ。

そしてナントカさんは相手のパンチを払う方法を教えてくれた。とっても良い人だ。やっとここでお友達が一人、できた。

| 羽生まゆみ | 練習生日記 | 20:51 | - | -
もっと褒めよう(練習生日記3)

昨日は宣言どおり稽古前にボクシングジムで汗を流した。

やっぱり運動すると気分もいいし体調もいい。

平日の昼間だったせでジムはがらんとしていた。このあたり、やはり住宅地のフィットネスクラブとは様子が違う。住宅地のジムだと元気なマダムたちで昼間の方が圧倒的に混雑しているもの。

トレーナーも二人だけだった。顔なじみのチーフトレーナーと初めて会うトレーナー。トレーナーは次から次へと新顔登場で名前が覚えられない。トレーナーの方は初めてでも必ず私を「羽生さん」と呼ぶから、私が更衣室に居る間に名前を確認するのだと思う。

この初顔トレーナーが昨日は面倒を見てくれた。ミット打ちは2ラウンドと決められていて、楽しいのにあっさり終わってしまう。10ラウンドくらいやってヘトヘトになりたいとよく思う。

当然だけど、同じミット打ちでもトレーナーたちはそれぞれ指導法が違う。細かく止めてフォームの修正をする人もいれば、とにかく気持ちよく打たせてくれる人もいる。私はまだ初心者だから両方大事で、毎回トレーナーが変わるのがけっこう楽しい。

みんな親切で優しい。モヒカントレーナーとは大違いだ。でもボクシングでも筋トレでもダメは同じことを言われている。

「アゴを下げて」

このダメが一番多い。

モヒカントレーナーに言われるとムッとしていたが、こちらでは「あーん、またやっちゃった」と可愛く受け答えている。

それにしてもよっぽど上がっているんだなあ、私のアゴ。苦笑する。自分ではわからないのだ。

そこで反省するのが役者へのダメである。一回で直さないとすぐイラッとしてしまう。そんなに直したくないならこの台詞カットしてやると思うくらいだ。現にカットしちゃうし。

いかんいかん、もっと大きく広い心で役者を見なくてはね。

 

昨日のボクシングの練習は稽古前だったので1時間で切り上げた。

ストレッチをやっていたらチーフトレーナーが来てくれた。

「今日は早いですね」

「はい。このあとちょっと用事があるので」

「そうですか。こういう、人が居ないときにディフェンスのやり方を教えたかったんだけど」

え? 稽古なんかどうでもいいからすぐさまもう一回グローブを装着したくなった。

「羽生さん上達が早いから。フォームもきれいだし」

ええーっ。喜びで心が震えたね。犬だったらブンブン尻尾振ったところである。

「やーん、チョー嬉しい」

可愛く受け答えた。「チョー」とか言っちゃって。

なぜだかわからんが、こちらでは「可愛い人」と思われたいらしい。

 

褒めるって大事ね。役者へのダメももっと褒め言葉入れよーっと。

と、思わず決意してしまった。

| 羽生まゆみ | 練習生日記 | 11:42 | - | -
筋トレが足りない(練習生日記2)

週3の厳しい体幹トレーニングをいきなりやめてしまったので、体重の増加と筋肉量の減少が心配でたまらない。ほとんど脅迫神経症である。日に10回くらい全身鏡の前で肉体チェックをするヤーな女に成り下がっている。

元々ぽよぽよしていた下腹のお肉が、レベルが上がってぼよんぼよんしてきたのは確かである。どうしていいかわからない。トレーニングであれだけ苛められてもどうにもならなかった屈強の腹脂肪が、私一人でどうにかなるわけもない。

ボクシングが頼りではある。でもまだ始めたばかりの私は息も上がらず練習時間を過ごしている。サンドバッグ打ちを真剣にやればかなりゼエゼエなるはずだが、なにしろコンビネーションの種類が少なすぎて途中で飽きてくる。

素人なのでその日にシャドウで習ったやつをひたすら打つしかない。同じコンビネーションをずーっとやっている。たまにはウィービング(頭をU字に振って相手のパンチを除ける例のアレ)を入れるとか、1回のジャブを2回にしてみるとか応用編をやってみればいいのに、なんだか気恥ずかしいのだ。

そんなわけで飽きてくるし、手も痛い。自分で好きなときに勝手にやめられるので、これもいかん。飽きてくると、もうひと踏ん張りやろうという気にはなかなかなれないものである。

 

好きにやめられるということは好きなだけやれるということでもある。毎日通ってもいいしまったく通わなくてもいい。自由である。トレーナーに「祝日があるから今週は2回にしろ」なんて言われて喧嘩になることもない。

私は運動に限らずペースにこだわる性質なので、身体に染みついたペースが乱れるのがすっごい嫌だ。だからボクシングも週3をきっちり守っているし、ほぼ同じ曜日に行くし、練習時間も決めたわけではないが気付くと毎回1時間半である。

早く気恥ずかしくなくサンドバッグが打てるようになりたい。サンドバッグ打ちは有酸素運動としては申し分のないものだし(心拍数が130を超えると無酸素運動だけどいい具合に30秒のインターバルが入る)、体重増加も少しは防げるのではなかろーか。

筋トレはもう自分でやるしかない。ボクシングの練習にも筋トレがあるが、筋トレスペースが狭いせいもあって、みなさんほぼ腹筋運動をやっているのみである。そんななか私がいきなりランジやらスクワットやらをやる勇気はない。引かれる。

なので目立たぬよう地味な種目であるプランクをやったら、それでもトレーナーがびっくりしていた。練習を終えて更衣室へ向かおうとすると、わざわざやって来てほめてくれた。

「完璧なプランクですね。きれいすぎてつい見入ってしまった」

 

4年5ヶ月のトレーニングとモヒカントレーナーの顔が思い浮かんだ。

 

 

| 羽生まゆみ | 練習生日記 | 18:26 | - | -
メリークリスマス!(練習生日記1)

本日もまたホンがカバンに入っていない。ラクチン。演出家としてはあるまじきことだが、かさばるから本当に持ち歩きたくないのだ。

肌身離さず台本を持ち歩いて芝居研究に没頭したいところではある。しかしカバンは10gでも軽くしたい方なので仕方ない。カバンが重たいとご機嫌が悪くなる。願えば何でも出てくるEricoや麻理枝の重たいカバンがホント、信じられない。いろいろ持ち歩かないと心配らしい。

 

この頃肩が凝るのはリュックが重たいせいではないだろうか。シューズが入っているのだ。

そう、そろそろ告白しなくてはならない。筋力トレーニングをやめて早一ヶ月、私は今グローブをはめて、四角いリングに立っている。そーなのォ、ボクシング始めちゃった。週3回きっちり通っている。私は今ボクシングジムの練習生である。練習生‥‥ああ、良い響きだ。

実はあちら退会後7日目にこちらへ入会した。早っ。

プロを育てているわけではないが、トレーニングの内容はかなり本格的。老舗のボクシングジムが売上向上を目指してレディース相手のボクササイズをやっているのとは少し趣が違う。シャドウ、ミット、サンドバッグ、縄跳び、筋トレなどの種目を、数名のトレーナーがウロウロしながら見てくれる。ひと言ふた言の助言であっちへ行ってしまうこともあれば、ダメ出ししながらずっとシャドウにつき合ってくれることもある。私はまだ初心者だからけっこうつきっきりだ。

ボクシングトレについてはいろいろ書きたいけど、また少しずつね。

とにかく入れ込み過ぎないようにしなくては。入れ込み過ぎるとやめる時がつらい。今だってまだ完全には立ち直ってはいない。ベンチやりたいと、身体の奥の方で何かが泣き叫んでいるのが聞こえるもの。

それにしてもシューズを持ち歩かなくてならないのがつらい。かさばるし。でもいずれボクシングシューズを買うよ。今よりもっとかさばるけどそこは譲れない。芝居も運動も、衣装は妥協しないのだ。

 

そうだ。芝居の衣装だ。忘れていた。衣装替えはどうしよう。Erico、純一が長い独り言言っている間に着替えられるかなあ。

ま、どうでもいいや。今年はまだ考えない。

さて、明日は立ち稽古。やっぱり台本持っていかないとまずいだろうか。かさばる。

| 羽生まゆみ | 練習生日記 | 23:07 | - | -
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