羽生ノート

羽生一家玉組座長・羽生まゆみが気儘に綴る日々雑感です。
ホン書きは続く

1組用台本『冬の家』が上がった。

本当は5月末が脱稿予定だったので、とんでもなく延びた。屈辱的である。

書き始めた頃は余裕綽々で、かなり呑気に構えていた。5月も半ばを過ぎた頃、不意に我に返った。

「ブートキャンプなんぞやっている場合じゃないぞ」

ピタリと筆が止まってしまい、苦しかった。

再び動き出したのは7月だった。動き出したら早かった。なーも頭を働かせなくてもポンポン物語が出てくる。あの空白の2ヶ月間はいったいなんだったのだろう。

「伝説」を題材にした。『レイニータウン』以来である。伝説をひねり出すのは面白い。伝説は大昔から伝わっているから伝説なのであって、今ひねり出したら伝説ではないのだが。だからこそ、それらしい雰囲気を醸し出さなくてはならず、その作業がとても楽しい。元々新作童話より伝承童話が好きだからね。

『レイニータウン』で背景として使った河童伝説はかなり凝っていた。あの、日影丸と闇夜丸の物語は自信作である。私がいっぱい書いてきた台本よりよほど面白い。そこそこ説教臭さもあって、まさに伝承説話な物語であった。

その点今回のは単純である。全国各地にある恩返し伝説の一つという設定で、「ありそーォ」というところを狙った。

1組の役者諸君、お楽しみに。途中弱気になって「書けない」とEricoに弱音を吐いたりもしたが、結局「やっぱり私だわ」と思う私であった。

 

さあ、2組『夏の家』だ。出だしはもう書いてある。出だしだけなら面白いのだが、今回もまた続きが一向に書けない。一回筆を止めると一生止まりそうな地獄モードに入る。書く時は一気に書かねばと、次回に向けて強く反省した次第である。

1組はオバイヴシリーズだが、2組の登場人物は今のところ人間だけの予定である(あくまでも予定)。オバケも精も妖怪もナシ。60代のオジサンたちだけで十分妖怪だからね。公演が延期になっているうちにソニーはもちろんトミーだって60代の仲間になるかもしれない。すると妖怪が4人だ! 小劇場では、集めようたってなかなかできない布陣である。

しかも4人ともタッパが割とそろっているし、お肉がたるんでいないし、お顔の見た目も悪くない。

演劇の神様が私に贈ってくれたプレゼントだと思っている。

しかしいくら何でも役者が70代に入る前には打ちたいものだ。

 

うかうかしていると誰か死ぬかもしれない。

 

| 羽生まゆみ | 2020玉組会議 | 22:20 | - | -
モリエールの楽屋(お詫びに代えて)

モリエールがやっちまった。(もちろん一番の罪は主催者にあるが、こんなヒトタチ、私の知り合いでもなんでもないのでどうでもいい。)

それを知ったのは、私たちの公演中止発表について玉組会議のみんなと電話会議をしたときであった。

新宿の劇場でコロナが発生したらしいというので、いったいどこだと麻理枝に訊いたらモリエールだと言う。その時点での感染者は3人だか4人だかで、電話が終わってネットを覗いたら14人になっていた。

モリエールはその昔、小劇場のコヤとしてそれなりに一世を風靡した。Ericoなどもモリエールに立つのは憧れだったと言っていた。この頃ではもっぱら芸能事務所や吉本芸人が使っていて、もはや小劇場の殿堂ではなくなっている。それがどーのというわけではなく、ただ下北沢の劇場などとは風合いが違ってきたということだ。

玉組では5回使っている。劇団を揚げたばかりの頃に3回使って、そのあと下北に移り、再び戻っている。なんで戻ったのか理由は忘れた。戻って打った『地下室のダンディ』はモリエールにとてもよく似合っていて、コヤも含めて作品なんだとあらためて知った。

つまりモリエールの思い出はいっぱいだ。一つ一つのシーンが鮮明なのは、モリエールを使っていたのが劇団を成功させようと懸命だった頃だからだろう。

 

モリエールの楽屋については屈辱的な思い出がある。初代主演俳優の中神に丸椅子一個渡されて言われた。

「羽生さん、そこに座った方が役者たちがよく見渡せますよ」

たぶん化粧前の数より役者の数が多かったのだろう、私の化粧前を用意してもらえなかったのだ。

それはいい。よくないけどまあ我慢する。私が傷ついたのは、「役者たちがよく見渡せますよ」というおためごかしである。まるで私のためであるかのような言いっぷりは、大人が子供を納得させるときによく使う手である。

「あらマリエちゃんはピンクがとっても似合うのね。ピンクは可愛い子しか似合わないのよ。じゃ、このお洋服を買いましょう」

本当はピンクの方が黄色より安いからである。私は三歳児の頃からこういった大人のおためごかしを見抜いていた。別に傷つかなかったのは、自分が子供だということをちゃんと知っていたからである。

私は役者たちが顔をそろえた満座の楽屋で恥をかかされ、恥ずかしさに震えた。頭のいい役者ばっかだったので、私の屈辱を推し量ってさぞ居心地が悪かっただろう。いたたまれなかったに違いない。私の顔から急いで視線を逸らしたと思う。

もしこれが匡人なら、丸椅子を渡しながらこう言う。

「じゃまだからそこにポツンと座っておけ」

これなら私は傷つかない。

 

玉組の公演が中止になったことを、楽しみにしてくださっていたお客様と、キャスト・スタッフに心からお詫び申し上げる。本当に申し訳なかった。

また、2020玉組会議の面々には、この騒動に巻き込んでしまったことを特に詫びたい。ホン書きにかこつけて後始末をさせていることが心苦しい。あと少し、よろしく頼む。

2作品連続上演という私にとっても楽しみな企画だった。残念である。しかしこの状況では致し方ない。

悔しいからホンは上げる。ホン読みを目指して書く。

 

役者たちにお詫びと愛を伝えたら、役者たちからも愛が返ってきた。

鹿児島のゆかり(玉組の元演助。2トントラックの運転もする)からも愛を伝えるメールがきた。『双子の庭』で恋をして『23時のブランチ』で愛に変わったと書いてあった。

芝居の中止とは関係ないと思うが、匡人からも「一世紀に一度羽生さんが恋しくなる」とメールが来た。Ericoが激怒しそうなので言いたくないが、「私は常にあなたが恋しい」と返信した。

 

私はまだ頑張れると思う。

| 羽生まゆみ | 2020玉組会議 | 23:40 | - | -
2つ連続

新しい情報がHPに上がったよ。

そう、今回は2作品を連続で上演する。同じ物語をキャストを変えてとかではない。正真正銘、まったく違う作品を創る。

大丈夫かなあ。ホン書けるかなあ。と、心配は尽きないが、私はやるよ。頑張る。陳腐な台詞だが、命を燃やして頑張る。

キャストは、1組がヤングチームで2組がオジサンチームになった。これは別に私がそう振り分けたわけではなく、役者の希望でこうなった。この組み分けはかなり面白い。

役者たちのことはここでもおいおい書いていく。

ちなみにクレジットの順番は1組が若い順。2組が年上から。

2組のEricoが下から2番目でビックリだ。トミーだって若い方だ。小劇場ではありえない座組である。乞うご期待。

 

みんな、私のオファーを快く受けてくれてありがとう。オファー開始から今日まで、役者達の「やる気」が私にたくさんの力をくれた。良いホンを書く。役者が喜ぶような。とにかく今は、それが私の仕事だ。

 

取り急ぎ書き込んだ。

玉組のお客様にまず報告を。

 

 

 

| 羽生まゆみ | 2020玉組会議 | 00:13 | - | -
考慮せねば

前回の書き込みで衣装を美しくしたいなどと言ったばかりだか、今回の芝居では衣装替えがあまりできないということを思い出した。楽屋がせまい上に、なんと舞台袖が無いのだ。舞台から引っ込むと、そこはいきなり楽屋である。

舞台関係者以外のお客様にご説明申し上げると、舞台袖とは舞台の左右に存在する、客席からは見えないスペースのことである。登場前の役者はここで出番を待つし、舞台監督が居るし、小道具が並べられたりしている。役者が舞台上からスタンドマイクを持って飛び込んで、袖でスタンバっている誰かにポイと渡して再び舞台に戻る。そんな場所である。

楽屋に戻っている暇のない超特急の早替えもここで行われる。Ericoは着物の早替えが必ずあるので、いつもいっちゃんいい場所にEricoの専属スペースが設けられる。悩ましい赤い襦袢がぶら下がっていたりするが誰も気にしない。

袖とは、つまり芝居を打つ上でとっても役立つ便利な場所なのだ。今回はこの便利な場所が無いことを、脚本を書く段階から考慮に入れておかなければならないだろう。

いつもは早替えの考慮なんかしたことがない。どうしたって間に合うわけがないと思われるようなシーンに早替えをぶっこんでも、稽古と工夫と精神論で乗り切ってきた。

あまり大きな声では言えないが、早替えについては今回年配の役者がそこそこ居るので、これも考慮しなくてはならない。テキパキ動けないと思う。(私がこんなことをここに書いていることはもちろんオジサンたちにはナイショである。絶対チクったらダメだからね。)

しかしエバって考慮考慮と言っているが、たぶん誰も信じていないと思う。とくにEricoはこれを読んで「チッ」と舌打ちしたに違いない。考慮に関しては信用度ゼロなのである。

実際、今すでに5ページほど書いてみたわけだけれど、考慮が存在するかと問われれば答えに窮する。

芝居はいきなり歌で始まる。ト書きに、「歌う」とか「歌い終わる」とか書いてある。私は舞台を頭に描いて書くので歌のシーンがはっきり見えている。しかし歌い終わった後、マイクスタンドがどこへいくのか、そのあたりはボヤボヤである。

まあ誰かがなんとかするだろう。

 

5ページから進んではいない。しかし芝居のことはいつも考えている。何かを思いついたり、思いつたものが消えたりを繰り返しているのだ。今はそんな日々である。

昨夜も思いつきで麻理枝にメールした。

「某ミュージカルのPVの冒頭で大勢がちょびっとだけ歌っているやつと、ダレソレがちょびっとだけ歌っているやつの曲名を調べてほしい」

両曲ともちょびっとだけである。自力でなんとかしようとしたがダメだった。

10分後に「動画見つけました」のメールがきて、その10分後に曲名が来た。なんと優秀な演助だ。「私は蜷川幸雄かいっ」と思った。

 

ねっ、誰かが何とかするでしょ? 私の言うとおりである。

| 羽生まゆみ | 2020玉組会議 | 20:03 | - | -
春につき、新タマ食べた

2月だというのにもはや春の気候である。暖かい。

これがこのまま続くわけはない。きっとまた寒波がくる。と、ガッカリ度合を軽めにするためしっかり自分に言い聞かせる私であった。私は何においても前向きには考えられない性質である。悪い方悪い方に考えて安心する。これが私の人生に幸せが来ない最も大きな要因だとわかっているが仕方がない。

暖かくなると俄然テンションが上がってくる。この冬は玉組会議が発足して忙しかったから、あっという間に乗り切った感がある。良かった良かった。冬は嫌いだ。ヒートテックの発明で信じられないくらい冬が楽になったが、それでも寒いのが本当に苦手である。

なのにしょっちゅう冬のお話を書いている気がするなあ。登場人物がいつもマフラーを巻いてコートを着ている。気のせい?

春が近いから八百屋さんに行くのが楽しい。ここのところ新タマネギと新ジャガを食べ続けている。高級オリーブオイル(お誕生日にKAZUHOにもらった!)と岩塩ふりかけて食べたら絶品でやめられなくなった。タマネギは丸ごとレンジでチン。ジャガイモも皮つきのまま丸ごと蒸かす。新がつくものはこれに尽きる。「丸ごと」と「チン」。小さな新ジャガは見た目も好き。可愛い。春はいいなあ。

 

ホンを5ページくらい書いてみた。上記のようにまた冬のお話である。トミーやソニーが「寒っ」とか言っている。暖まるために酒も飲んでいる。(おっと、この二人はすでに発表しちゃってるからいいんだよね? もうとっくに口滑らせてるもん。)

まだ本当に仮である。すっかり書き直す可能性がある。だから二人とも「げっ、冒頭から出るんかい」と緊張する必要はない。ま、緊張するような二人でもないけど念のために言っておく。(仮だ仮だと念を押すのがそろそろ面倒になったきた。もういいか。みなさん、ここに書く芝居の内容は仮であることをくれぐれも忘れないでね。)

場所を半地下にするつもりだったがあっさり捨てた。これはアカデミー賞映画の登場人物たちが半地下に住んでいる設定だと聞いたせいもある。あっちがアカデミー賞なのにこっちが無理に半地下にする必要はない。1階でよい。1階で、お金に困っていない人たちがわあわあ騒ぐ物語だ。つまりいつもどおりである。

私の芝居の登場人物たちが毎回お金に困っていない設定なのは、舞台美術と衣装を美しくしたいからである。劇団をあげた時に宣言したとおり、私は小劇場の「暗い、汚い、貧乏臭い」というイメージを私の劇団では覆したかった。役者たちは皆、現実の世界ではアルバイトに追われる貧乏人だが、物語の世界ではお金の心配など微塵もない、優雅な人たちであってほしかった。

今もそれは変わらない。優雅であること、背中が伸びていること。比喩的においても、また視覚的においてもだ。

美しい芝居を創りたい。

今回セットは組めないけど、照明も伸一郎じゃないけど、でも舞台はきっと美しいと信じる。いつもどおりに。

 

春だ。幸せは来なくていいから、ストーリーは降りて来ますように。役者たちが元気で初読みを迎えられますように。コロナで降板なんてことになりませんように。

公演が終わるまで私がシャキッと生きていますように。

| 羽生まゆみ | 2020玉組会議 | 22:33 | - | -
公演日発表とオマジナイ

いよいよ公演日が解禁になる。

今現在は土曜日の夜。日曜が明けたら書いていいんだって。なんで今じゃダメなのよっ。

どうやら情報解禁は大安、チケット発売日は友引というオマジナイがあるらしい。Ericoのオマジナイだ。

私は別に仏滅だろうが天皇誕生日だろうがいっこうにかまわないのだがオマジナイは神聖なものだから守らねばならぬ。あとで何かあって、「あれは羽生さんがオマジナイを無視したせいだ!」などと責任を問われたらたまらんからね。

そういえば東京オリンピックはオマジナイが足りなかったのではあるまいか。振り返れば、国立競技場の設計変更に始まって、ポスターの盗作騒ぎやらマラソン会場の変更など気分が盛り下がることだらけである。

そしてとうとうオリンピックそのものの中止も取り沙汰されるようになった昨今、その原因がまさかの疫病である。平安時代かよっ。

心から、がんばれニッポンである。がんばれニッポン、がんばれ小池都知事、がんばれ桃田!

小池さん、今からでも遅くはない。水ごりするなら付き合うよ。怪しいマジナイ師のバーサンも紹介できる。

 

中止って嫌な言葉だ。背筋が凍る。もし本番に入ってインフルエンザの役者が一人でも出れば、公演は即中止にしなければならない。考えるだに恐ろしい。

これまで30本以上の芝居を打ってきて、本番中何事もなかったことを奇跡のように感じる。

最大の危機は「役者が牡蠣に当たっちゃった事件」だろうか。(公演2日目だったか3日目だったか、牡蠣に当たって入院したマチャを匡人が引きずり出してきた事件。)あれは危なかった。危うく公演中止だった。以来役者たちには、本番期間中に牡蠣を食べないよう訓示している。

今後心配なのはむしろ私自身である。もう長いこと高熱を出していないのがむしろ不安。そろそろ来るんじゃないかと恐れおののく。まあ本番中に私がコヤに居なくてもなんとかなるから、役者がインフルになるよりはマシだ。

これが稽古期間中だと困る。インフルだとさすがの私も休むしかないが、役者の「自主練して頑張る!」なんて台詞、マジナイ師のバーサンの占いより信用していない。私が休んで役者が喜ぶと思うと、絶対にインフルだけにはなるもんかと思う。

 

なんてことを書いている間に日曜日が明けた。

公演日の発表だいっ。

2020年12月19日(土)〜12月27日(日)

 

どうだ麻理枝! 私が発表したぞ。

乞う、ご期待! て、書いていいんだよね? 口、滑らせてる?

| 羽生まゆみ | 2020玉組会議 | 00:01 | - | -
指示待ち女

スマホを一日に30回は開けると自慢したばかりなのに、Ericoの「KAZUHOさんとここで待っていますメール」に2時間近くも気づかなかった。シマッタ、屈辱的だ。

でも大丈夫。何も知らずに入ったカフェにEricoとKAZUHOは居た。

私の姿を見て二人はびっくりしたらしい。

「既読がつかないのに羽生さんが来た」

ふん、私は鼻が利くのだ。匂いでわかる。

というわけでミケのライブへ行く前に玉組会議。新たな報告と相談事を聞いた。

私は自信満々に言った。

「全部まかせる」

EricoとKAZUHOの前では私も「指示待ち女」に成り下がる。だって口の出しようがないんだもん。

KAZUHOからの指示が出た。

「出演する役者たちの、クレジットの順番を考えておいて下さい」

おおっ、やっと私にお仕事がまわってきた。いいぞ、やる気満々だ。

でもこれは簡単過ぎるお仕事である。すでに決まっている。クレジットは年齢順。上からか下からかはまだここには書けない。(匂わせが多いぞ私。本当は、書けない事情を喋りたい。ああっ、口が滑りそうだ。)

Ericoからの指示は、

「羽生さん、タイトル決めないと」

ええっ、もう? まだ一行も書いていないのに。

これまでなら間違いなくムッとしているところである。実際200回はムッとしてきた。

「私はね、麻理枝やEricoにタイトル決めろって言われるのと、役者達に衣装のイメージ訊かれるのがいっちゃん嫌なのっ」

などと冷たく言い返してやるのが常であった。

でも私は大人になった。こんなことでいちいち腹を立てたりしない。今回はひねり出すよ。玉組会議の女達にはいっぱいお世話になっているからね。私だってやるときはやる。

ちなみに、衣装はともかく、その他諸々何かにつけ「羽生さんのイメージは?」と訊かれるのは本気で嫌だ。

イメージなんか微塵もないことがバレてしまうからである。

 

今夜もまた、グループラインが大騒ぎだった。私は入力がモタモタしているので、クエスチョンマークはどこ押せばいいんだーっ、などと焦っている間にお話し合いのテーマはガンガン移ってゆき、私はオタオタするばかりである。返事書いているヒマがないのでとりあえずスタンプ押しまくっている。クールな私のイメージが台無しだが仕方ない。スタンプって便利。

役者がほぼ出そろったので(すごい! 瞬く間に決まった。)、役者達のフルネームをライン画面上に並べてほしいとポツポツ入力していたら、送信ボタンを押してもいないのにいきなり名前がずらっと出て、一瞬びびった。どうして思っただけで通じちゃうのだ?!

 

こういうところがKAZUHOのすごさである。Erico以上に気の利く女がこの世に居るとは知らなかった。

もうKAZUHO無しでは生きていけない。KAZUHOの指示待ち女として今後の人生を歩みたい。

| 羽生まゆみ | 2020玉組会議 | 13:55 | - | -
水漏れその後

水漏れ事件のその後を報告するのを忘れていた。

2月に入ってやっとすべてが片付いたよ。いやあ、大変だった。天井から水が落ちてきたときも大変だったけれど、そのあと管理会社や施工会社の下請けの下請けと電話のやり取りをする方がもっと大変で、「うちの木村に電話させるから打ち合わせは彼女とやって下さい」といういつもの台詞を言いそうになった。

何が嫌だったかと言うと、こっちが何も言っていないうちから、とにかく「うちは何もできません」のアピールがすごかったことだ。責任を負いたくないというものすごい緊張感が電話口から漂ってくる。私は工事日程の質問をしているだけなのに、まるでクレームに対するように身構える。絶対に言葉尻を捉えられてなるものかという悲愴なまでの決意である。

これはまあやたらクレームをつけたがる現代の風潮のせいではある。気の毒とは思うが、しゃべっていて気分が悪い。

施工会社の下請けの下請けの場合は、「家具は必ず他へ移しておくように。うちでは椅子一つ動かしません」のアピールだ。打ち合わせの間じゅう何回も言うのでいいかげん頭にきた。

「知ってる。やっておくって私、何べんも言ったよね。あと何回言えばいいの?」

冷たく言ってやったら黙りこんだ。ふん。

というわけで、1003号室弟の登場である。家具を動かすのも、新しいカーペットを敷くのも、粗大ゴミの日に古いカーペットを捨てるのも、みーんな1003号室弟が手伝ってくれた。今では私んちに最もたくさん入ったことがある赤の他人である。光栄に思ってもらっていい。

感心したのは、私の嫌いな「指示待ち男」ではなかったことだ。ちゃんと頭を使う。「こうしたらどうでしょう」と提案もする。そんなわけで仕込みを手伝わせたいと思うほど気に入った。

そう、私たち玉組の女にとっては「男の価値は仕込みで決まる」のである。

ほんと、いいもん見つけた。水、漏らしてくれてありがとうなのであった。

 

公演の準備も着々と進んでおるよ。昨日、今日と、続けざまに女優が2人決まったし。あまり遠くないうちにHPに公演情報載せられるのではないかと思う。その前にちびちび羽生ノートで口滑らせてKAZUHOに叱られたい。

こういった情報は「2020玉組会議」というグループラインであがってくる。楽しくてたまらない。これまで1日に3回くらいしかメールチェックなんかしなかったのに、最近は30回はスマホを開けている。2020玉組会議のところに,箸△箸の数字があるとワクっとするね。しかし悪い情報が上がる可能性だってあるわけで、開けるときはそれなり緊張する。そんな緊張感もまた楽しい。

上記女優情報を得たときは「歓喜して踊るパンダ」のスタンプをぺったんこしてやった。

 

おっと、Ericoから新情報。

ええっ、某オジサン俳優が出演を了承したとのこと。

詳細は明日話すとのこと。今ラインで言えないってことは何かあるのね。ドキドキだわ。

 

明日は玉組の女優ミケのライブだよ。

その後Erico、KAZUHOと打ち合わせ。あー忙しくてステキ。

| 羽生まゆみ | 2020玉組会議 | 23:22 | - | -
行き当たりばったりについての何度目かの書き込み

演出家のブログなのだから、たまには創作について話をしよう。

つまり、どのようにホンを書くかである。ここに何度も書いてきたことであるが、新しい読者も3人くらいは存在すると思うので。

 

私には普段、書きたいことがまるで無い。作家によっては日頃からテーマをいくつか抱えていたりもするらしいのだが、私にそんなものは無い。

私に創作意欲が湧き出てくるのは、俄然やる気が出てくるのは、出演の役者がはっきり決まったときである。それまでは台詞なんぞ一行も書きはしない。

だから、麻理枝やEricoから出演の依頼があったとき、役者たちは「どんな役なんだろう」とか「台詞はいっぱいあるのだろうか」と考えても無駄である。私はまだなーんも考えていないのである。

過去、Ericoに誘われた役者が、私と直接話したいとのことで電話をかけてきたことがある。(ここにも書いたことがある。)

どんなストーリーなのかと探りを入れ、自分がどんな役なのか更に探りを入れたあげく、彼は言った。

「稽古期間と映画の撮影が重なるが、もし芯を取る役なら玉組の稽古を優先してもいいとマネージャーが言っている」

なんと、私と取り引きしようと言うのだ。驚いた。

探りを入れられている間、今は何も決まっていない旨を、私はホンの書き方を交えながら丁寧に説明したのだが、何も理解していなかった、というか私の言葉を信じてもらえなかったのである。

 

ホンの書き方は作家によって千差万別だと思う。まずストーリーを箱書きしてから書き始めるという作家もいれば、行き当たりばったりに書くという作家もいるだろう。私は完全に後者である。

「何もないところからなどと言うが、そんなことはおよそ信じられない。書きようがないではないか」

当然の疑問である。

私が最初にやる作業は、チョーメンの第1ページに、出演する役者の名前を縦にずらっと書き、横に役名を付けていくことである。(この作業はなぜか手書き。PCではない。たぶんオマジナイみたいなものなのだろう。)

それから、いったいここはどこだと考える。物語の背景となる場所(湖畔とか深い森とか)と、実際に役者が芝居をする場所(バンガロー風の邸宅とか階段があるとか)を考えるのだ。

そしてキャラクター同士の関係を仮に、あくまで仮として考える。この人とこの人は叔母と甥とか、この人達は幼馴染みとか、そんなことだ。この時点では仮でしかない。

そんなことを集中して考えている間に、何かがぴかんとひらめく。私はそれを演劇の神様のご降臨と呼んでいる。神様は私に何かを授けてくれる。それはたいがい「絵」であることが多い。湖畔に轟く銃声と飛び立つオオハクチョウ、クローバーの絨毯に寝転ぶ幼い兄弟、月光輝く湖で泳ぐ馬とかね。そんな絵を結びながら物語の筋ができてゆく。

今私は『いななきの森』を例にとったわけだけれど、これも役者の顔ぶれを見て4人兄弟の話にしようと思った。4人兄弟の物語にしたいから4人の男優を集めてね、と言ったわけではない。

『いななきの森』は内藤家の家政婦である砂子の長台詞から物語は始まる。なぜ砂子に喋らせることにしたのかは思い出せない。過去を語るのは内藤家の当事者ではない方がいいと思ったのかもしれないし、単にEricoの長台詞を聞いてみたい衝動にかられただけなのかもしれない。(危険な衝動である。)もう忘れたけれど、Ericoに長台詞を喋らせたかったから、Ericoを家政婦にしたのかもしれない。

そうやって物語は創られていく。書き始めてから創られてゆくのだ。

 

まだ書き始めてもいないのに、何かの「絵」を見てしまうこともある。私のいけないところはそれを黙っていられないことだ。書き始めていない時点で思いついちゃったことなんぞ大概が変更になるのに、よけいなことを口走ったせいで役者に妙な期待を抱かせてしまったりする。

「Erico、次は演歌歌手だからね」

「えっ、イメージで言うと坂本冬美ですか」

「うん、そう」

で、髪の毛をドッカーンと結い上げた妖艶な演歌歌手をEricoは想像しちゃうわけである。当然である。

ところが稽古が始まると「髪型はオカッパ」などと言われてしまう。Ericoのガッカリは想像に難くない。

というわけで何が言いたいかと言うと、役者達は初読みの際、ホンを読んでガッカリしないでね、ということだ。ストーリーはまだわからない。キャラもわからない。何もわからない。だから何も想像しないで。想像するときっとガッカリする。

今この書き込みをしている今日、物語は何も決まっていない。オジサンたちが歌を歌うとか、舞台を半地下にするとか口走っているが、はっきり言ってそれもどうなるかわからない。

私はまだ、一行も書いていないのである。チョーメンに、役者の名前さえ記していない。

 

めっちゃ言い訳がましい書き込みになったぞ。

私の真意は伝わったかな?

| 羽生まゆみ | 2020玉組会議 | 16:40 | - | -
会議のちランチ

本日は2020玉組会議の打ち合わせが新宿で行われた。

うちは(あえて「うち」と言ってしまうが)女たちが優秀なので、ガツガツといろんなことが決まっていく。今回は特にすごい。今日は、ほぼ本決まりの稽古スケジュールが出た。公演は12月なのに!(これにははまあ深い理由もあるのだが、今はまだ言えない)

もちろん今後変更もあるだろうが、役者達の都合も充分に考慮した、「うーん、すごい」と唸ってしまうものであった。本当に唸ったし。KAZUHOや麻理枝はこれを作るとき、試行錯誤しながら吐きそうになったと言っていた。ものすごいパズルゲームだからだ。

すごいなあ。私ではとてもこうはいかない。

いろいろ書きたいこともあるのだがこれ以上書くと筆を滑らせそうなのでやめておこう。まだ発表できないこともある。

 

打ち合わせの場所はベローチェだった。テーブル小っちゃいし変なところでやるなーと思っていたのだが、理由は食べ物のあるところだと私が食べちゃうからであった。実際ベローチェでもピーナツバターサンド食べたし。

私がカウンターで頼んでいたら、テーブルの方からKAZUHOの慌てたような声が聞こえてきた。

「あっ、羽生さん頼んじゃった」

Ericoが言う。

「羽生さん、打ち合わせが終わったらランチしましょう」

なんだ、ランチするんだ。最初11時の予定だった待ち合わせ時間が10時半になったので、てっきり午後は誰か予定があるのだと思っていた。お昼はどこで食べようかな−、サイゼリアで手羽先かなーなどと、ひとりぼっちランチを考えていたのだ。

もちろんする! サンドイッチごときでお昼が食べられなくなる私ではない。

 

ランチはもうすぐやってくる私のお誕生日のお祝いであった。

予約されたお店に行ったらすでにテーブルがセットされてあって、ランチョンマットに「happy birthday」と書かれてあったから、あっさりバレて麻理枝が笑った。

おいしかった。チキンのお料理もおいしかったけれど、焼きたてパンがそりゃあもうふわふわのあつあつで絶品であった。

気の置けない女子とのランチは楽しい。大昔、公演が終わったあと、出演した男優達を呼んでご飯食べたことがあったが、それがちっとも楽しくなかったという話をした。2回くらいあったと思う。しかも私のおごりで。3回目は間違ってもするもんかと決意したものだ。

あー楽しかった。

女子会らしく化粧品やハンドクリームの情報も仕入れた。帰りにさっそく買った。

とっても高価な化粧品だから、みなさんにはお勧めできない。というか、なるたけ情報は自分だけのもにしておきたい。世の女子はすべてライバルである。若い頃はライバルなんぞものともしない余裕があったが、今は切羽詰まっている。ギリギリである。だから絶対に教えない。

 

ヒント。青い缶とだけ言っておこう。

| 羽生まゆみ | 2020玉組会議 | 23:40 | - | -
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