羽生ノート

羽生一家玉組座長・羽生まゆみが気儘に綴る日々雑感です。
激しい人(体幹トレ日記98)

一夜明けて激しい筋肉痛。昨日のトレーニングもオーナーと一緒だった。

昨日は楽しかった。うふっ。トレーナーにあんまり怒られなかったし。うふふっ、である。

オーナーはここ最近身体作りに気合いが入っているようだ。ヒロの指導で筋トレをやる他に、有酸素系のスタジオに週3回通っている。よくわからんが暗闇の中でボクシングしたりバーピージャンプしたりして死ぬほどハアハアなるらしい。自分の経営するスタジオがあるのにわざわざ他のところに行くのはやっぱり刺激や新鮮さを求めてのことだろうか。気持ちがわからないではないが、私はできたら、こっちで私と一緒に週3回トレーニングしてほしいところだ。そうなると最早パーソナルではないがどうでもいい。

オーナーはマラソンの人だから、トレーニングの目的のほとんどは「早く走るため」なのだろう。そういえば私はもうずっと外を走っていないなあ。あんなに楽しかったのに、少し寂しい。

走っていたシーンを思い出すたびにリュードのことを、胸の痛さを伴って懐かしむ。

 

オーナーにあちらのスタジオの様子を訊くのは遠慮している。こちらに移った私が詮索がましい発言をするのは違うと思うから。

でもこれだけは言っておきたいが、私は自分から裏切ったわけではないよ。オーナーとヒロの誘いがあったからだ。私の方から「あっちへ行きたい」などとは、私の性格上、口が裂けても言えなかったと思う。

二人が、今頃になって誘ったことを後悔しているとしても知ったことではない。私が「面倒くさい客」であることは、前から知っていたはずだからね。それとも面倒くさい客だから、オーナーがヒロに引き取らせたのだろうか? 

可能性はおおいにある。

 

で、私は自虐的に言った。

「じゃあ私がやめてあちらのみなさんは喜んでいるね」

するとヒロが言った。

「アキは激しいトレーニングが好きだからちょっとは残念なんじゃないか」

うふっ。少し気分がいい。つまりあちらでは私が一番激しかったということだ。

ところがオーナーが言った。

「ひとり激しい人がいるから大丈夫」

ナヌ? 私の負けず嫌いが鎌首をもたげる。

オーナーは言った。

「羽生さんほどじゃないけどね」

ホッとひと安心。ところがヒロが私を絶望のどん底に突き落とした。

「こっちも最近羽生さん並みに激しくやる人ができた」

ナヌナヌ? 知らんかった。油断していた。いったい何者だ。

どうやら男性会員であるらしい。男子と聞いていくらか安心するがそれでも悔しいことに変わりはない。きっとベンチやっているんだわ。ベンチやっていると聞くとめっちゃ悔しい。この頃私は重たい物はあんまり持たせてもらえない。

 

そんなわけで頑張った。いろんな種目をオーナーと1セット交替でやっていく。

相変わらずオーナーはいっぱいほめられる。オーナーがやる時は私に、

「羽生さんより上手い」

私がやる時はオーナーに、

「ほら、羽生さんの場合、ここが反っているでしょ。これだと効いていない」

オーナーは「ふんふん、なるほど」と、すっごい参考にしていた。なんだよっ、私を悪い見本にするな! 反っているならとっとと真っ直ぐにしてくれ!

チンニングの時もオーナーはほめられていた。

「最近背中が大きくなりましたね」

私はすかさず訊いた。

「私は?」

「変わらない」

「私も大きくなりたいのですが」

「大きくなるより現状維持を考えろ」

「‥‥‥」

ぐやじい。現状維持なんかイヤだ。できるだけムキムキになりたい。「腕が太くなるから筋トレはヤだ〜ん」などとのたまうナメた小娘と一緒にするんじゃないぞ。

丸太のような腕が欲しい、と言っておく。

| 羽生まゆみ | 体幹トレ日記 | 23:58 | - | -
サラサラしていたら(体幹トレ日記97)

ここ数週間のトレーニング、毎回40分近くをミット打ちに費やしている。太ったのがバレたからである。つい体重を告白してしまったのが失敗だった。ほとんどインターバルをいただけない地獄のミット打ちである。最後の〆は腹筋運動。お腹の上に砂の入ったボールを落とされたりする。ボクサーがやっている例のアレだ。あー楽し。

なのでお腹にくっきり2本の筋がよみがえった。簡単だね。(下腹はまだポテポテだけど)

そんなわけで気持ちはボクサーである。だから先だっての井上尚弥の試合もお勉強させてもらおうと、緊張しつつゴングを待っていた。

ゴングが鳴った。

「そうだ、コーヒーを飲もう」

カップにインスタントコーヒーをサラサラ入れている間に試合が終わってしまった。戻ったら、相手選手がリングに伸びており、井上が落ち着いた表情でテンカウントを聞いていた。

なんだよーっ。全然お勉強していないじゃないか。どうしてゴングと同時にコーヒーが飲みたくなったのかわからない。

KOシーンが繰り返し映し出された。なにがなんだかわからなくてやっぱりお勉強にはならなかった。

相手選手が垂直後ろ倒れして、むしろそっちの方に目が釘付けであった。昔、暗黒舞踏系の方々が、踊っている最中に白目むいて倒れていたのと同じ倒れ方だった。久々に見た。

 

早くリングに、じゃなくてスタジオに戻りたい。ここ一週間、私はお休みなのだ。お腹の筋がまた消えるんじゃないかと心配だ。

このところもう一つ気持ちが盛り上がらない。前回はオーナーと一緒のトレーニングだったので復活するかと期待したが、これもかつてのようには気持ちが弾まなかった。昔は三人でトレーニングするのが楽しかったんだけどなあ。

「二人で楽しくやってれば? どうして私がいるの?」てな感じのイジケた一時間だった。オーナーの前でトレーナーに侮辱されるのが、誇り高い私を傷付けたのだ。人前で侮辱されるのが一番腹立つ。

どうもいかんね。でも気を取り直して努力しなければ。トレーナーのダメが侮辱ばかりで気持の良い檄が飛ばない今、自分で自分を奮い立たせるほかはない。次回はこれまで以上に鋭いパンチをミットに叩き込んで、トレーナーを垂直後ろ倒れさせてやる。

返り討ちに遭うのは覚悟の上だ。この前など、私のガードが甘いと怒って、チョイとミットで肩を押されたら吹っ飛んだ。オヨヨと倒れ込んだ私はその姿のまま恨めし気にトレーナーを見上げたね。ミットをはめた貫一とグローブをはめたお宮であった。ここは熱海の海岸かっ。

 

気合いを入れよう。気合いが頼りだ。トレーナーからもオーナーからも「羽生さんは根性だけ」と言われるが、その根性がなければそもそもこんなきついことが続くわけないではないか。

これだけ続けて進歩がないとすれば(実際、ないのだけど。85才のおばあさんにも負けているらしい)、あとはもう才能の領域である。やめて別のことに目を向けてみるのも、別の才能を探すのもアリなのかもしれないと考えたりもする。

水泳でシニアレコードを出す可能性がないではない。100メートル走はどうだろう? リュードの指導で坂道ダッシュをしたとき、私は確かに風を切っていた。

このように、考え始めると(トレーニングのことに限らず)深く重く沈み込んでいくのが私の特徴である。

いかんいかん。これだから休みは嫌いだ。気持ちが切れる。ずんばも書道も一回休むと次回行く気が薄れる。芝居の稽古は休んだことがないからわからんが。

 

木曜日に名古屋方面の動物園にゴリラを見にいく。それでまた元気になるぞ。

| 羽生まゆみ | 体幹トレ日記 | 23:29 | - | -
Tシャツと短パン(体幹トレ日記96)

スタジオの更衣室でリュックを開けてびっくり。なんとお稽古着が丸ごと一式入っていなかった。おうちに置いてきちゃったらしい。

いったいこのリュックの重たさは何だったのか。ほーんと不思議。小人さんが二人ばかり入っていたのかも。もう消えちゃった。残念。

などと、お得意のファンタジー系空想癖に浸っている場合ではない。ひとりぼっちの更衣室で、自分のボケっぷりにびびった。

お稽古着は毎回、トレ日の前夜に準備する。布袋にウエアやパンツを「イチ、ニ、サン……」と数えながら入れていき、それをリュックに突っ込む。6個数えればOK。ウエア、パンツ、スポブラ、5本指ソックス、膝サポーター、グローブの厳選6品である。(シューズはスタジオに置きっぱ。)

告白すると、5まで数えて「あと1つはなんだっけ?」と考え込むことがよくある。

「グローブだ! あぶねーあぶねー」

てな感じで大騒ぎである。

それにしてもごっそり全部忘れてしまったのは初めてだ。すっかり入れたと思い込んでいたのだが、どやらイメージだけだったらしい。

お稽古着を忘れるなんて言語道断。ここで思い出されるのが、お稽古着を忘れて私に苛められた優太のことである。この一件、優太にだけは知られたくないと思った。しかし心配するな優太、私もトレーナーにたっぷり苛められたから。

 

スタジオで借りたTシャツと短パンとソックスを身に付けてモヒカントレーナーの前に出た。

トレーナーは開口一番、

「ダッセー!」

まったくだ。サイズがまったく合っていないうえに、短パンからむき出し状態のむっちり太ももと、年齢が容赦なく現れる膝が寂しい。鏡に映った自分の哀れな姿が信じられない。屈辱的だ。

トレーナーにはもう一回、「ダッセー」と言われた。

かろうじて言い返した。

「そんなことはない。私はなにを着てもかわいい」

思ったよりものすごく声が小さかった。

「着替えを忘れるなんてヤル気がまったく感じられない」

チクショ、ヤル気満々で来たのに。最近またやらせてもらえるようになったベンチのイメトレだってやってきたぞ。イメトレだけで筋肉痛になったくらいだ。

「サポーターも忘れたの?」

「うん。忘れた」

モヒカントレーナーは呆れたように言った。

「じゃあできないね。今日は軽くやってオワリ」

さすがに私もその方がよかった。こんなカッコじゃテンションも上がらない。

ミット打ちとプッシュアップとストレッチを、悪態に耐えながらやり抜いた。軽くったって汗びっしょりだ。

「ウエアはタオルと一緒にカゴの中に入れておいて」

気ィ遣いの私は汗だらけの服を洗濯させるのは申し訳ないなあと思い、

「洗濯してこなくていいの?」

と言った。

突然、頭ごなしに怒鳴られた。

「明後日使うんだよっ!!」

な、な、なんだ、その言い方。どうやら私の、気ィ遣ってますよアピールが気に入らなかったらしい。無駄にアピールして俺に同じことを二度言わせるなってことだ。頭にきた。Tシャツも短パンもその場で脱いで、バシッと床に投げ捨ててやりたいところだったがかろうじてこらえた。

アピールだろうがなんだろうが気を遣っていることに嘘はない。心映えの良さをほめてもらっても非難される覚えはない。

 

こうして3回に1回は頭がバクハツしながら(むこうはほぼ毎回)、私のトレーニングの日々は続くのであった。

やれやれ。

 

| 羽生まゆみ | 体幹トレ日記 | 22:05 | - | -
道明寺(体幹トレ日記95)

ところで私のトレーナーはトレーナーなのに甘党である。

トレーナーは甘いもんなんか食べず、ブロッコリーとサラダチキンばっか食べているのかと思っていた。あんこ好きなのだ。トレーニングの前とか後とかに豆大福やら道明寺を食べたりする。

前と後だけではなく、途中で食べたこともある。私をトレッドミルに乗せておいてから、急に「草もちが食いたくなった」と言い出した。

「今?」

「買ってくる」

「はあーーっ?」

そしてとっとと出かけようとするではないか。やばい、本気だ。私をトレッドに置きっぱなしにして?

ハムスター状態の私は慌てふためき、トレッドの上でバタバタ足をもつれさせながら叫んだ。

「今じゃなくてもいいでしょーよ! 無理無理無理!」

「大丈夫。すぐ戻る」

大丈夫じゃないわよっ! 私はここのトレッドの止め方を知らないんだからっ。たとえ知っていても私はトレーニングを自分で止めたりしない。トレーナーの「はい、水飲んで」を待つ人だ。トレーナーと喧嘩するときだって律儀に腕立ては続けるぞ。

しかしあきらめるほかなかった。

「だったら走って! 丁寧に包んだりしなくていいんだからね! 急いで! 早くっ!」

まったく生きた心地がしなかった。もし交通事故に遭って帰ってこなかったらどうしようと思った。ここで私は永遠に走っていることになるではないか。

不安感が極限までつのり、「無理無理無理。早く戻れ、バカ!」と騒いでいたら戻ってきた。

30分は走ったと思っていたら、7分しか経っていなかった。

「羽生さんも食べる?」

「‥‥‥」

「いらないの?」

「‥‥‥イッコ食べる」

私はこの人に、「食え」とは言われても、「食うな」と言われたことがない。

 

いつだったかトレーニングの後、私が草もちを買ったこともある。つーか、買いに行かされた。近所に和菓子の老舗『玉屋』さんがあるのだ。あんこ好きにはたまらん環境だ。私もあんこは嫌いではない。

私の次の時間帯に入っているノブちゃんのぶんもいっしょに買ってきた。女の子が好きな道明寺である。

「ノブちゃんにあげてね」

「俺が食べる」

冗談だと思っていたら本当に独占したとあとで知った。悪魔っ!

 

ここを読んだノブちゃんが激怒して、ぱこーんと蹴ってくれることを祈る。

 

| 羽生まゆみ | 体幹トレ日記 | 20:15 | - | -
本日も筋肉痛(体幹トレ日記94)

今日もまた筋肉痛。胸と脇が激しく痛いが、それにも増して痛いのがお尻である。最後にやらされた横跳び系ぴょんぴょん種目(サイドランジの部類?)のせいかもしれない。

ぴょんぴょん種目は苦手だけど、あちらのスタジオに通っていたころに比べたらだいぶマシになった。あちらでは若いトレーナー達にヤクルトジャンプと悪口言われていたものだ。ヤクルトの高さしか飛び上がれなかったからである。こちらでは牛乳瓶までは成長したように思える。飛んだときにふわっと感がある。

というわけで今は「目指せペットボトル」だ。一升瓶なら尚可である。

 

しかしお尻が激イタなのはぴょんぴょんのせいだけではなく、久々にやったベンチプレスも影響しているのではあるまいか。

ベンチは数ヶ月ぶりだ。前はよくやらされていたし好きだったのだが、こちらに移ってからはほとんどやらない。理由はわからんが、たぶん私があまりにもできないので諦めたのだろう。しめしめである。悔しくもなんともない。この頃すっかり「怒鳴られ疲れ」しているので、100%怒られることが決定しているベンチはやりたくない。箸より重たいものも持ちたくない。バーベルなんて冗談じゃない。

それでもやるとなれば力を振り絞る。つーか、ベンチの場合振り絞るのはお尻である。この日も「ケツを締めろ!」というご要望にお応えして、挟んだキュウリが真っ二つになるくらい振り絞った。(挟んでないけど。)で、筋肉痛だ。

 

ベンチのあとはプッシュアップだった。これはマズイ。チンニング後の腕立てもきついが、ベンチ後はもっと悲惨だ。胸と脇はすでに痛いし、腕もふにゃふにゃ状態。お尻にいたっては振り絞りすぎて半分砕けている。

案の定まったくできなかった。なんとか身体を持ち上げようとするのだが持ち上がらず、力任せに上がろうとするとフォームはめちゃくちゃである。

で、すかさずモヒカントレーナーの畳みかけるような怒声が飛ぶ。

「右肩が上がってる!」

「右肩が上がってるって言ってるだろ! 顔上げてちゃんと鏡見ろ!」

「鏡見てやれって言ってるのになんで見ないんだよ、バカ!」

バカ? 今バカって言った?

言葉の刃で袈裟懸けに斬られて、私の心は血だらけだ。

「ちゃんと見てる? 見てねーだろ!」

私はプッシュアップ姿勢のまま弱々しく口答えする。

「見てる」

「じゃあなんで右肩が上がってんだよ!」

「‥‥‥」

「返事しろ! 見てないから右肩が上がってるのがわかんないんだろ! 今上がってた? 上がってなかった? どっち?」

むーかーつーくー。

ついに私も大音声で怒鳴り返した。やっぱりプッシュアップ姿勢のまま、

「わかってるけど直せないんだよっ!」

プッシュアップ姿勢じゃなかったら、今まさにつかんでいるプッシュアップ用ブロックを投げつけてやったところだ。

 

稽古場の役者の気持ちがわかったね。これだ。

わかっているけど直せない。

 

チクショウ、涙出た。

| 羽生まゆみ | 体幹トレ日記 | 23:04 | - | -
筋肉痛(体幹トレ日記93)

毎回プッシュアップをやるのあたりまえのようになっている。あれこれやった後の「デザートの50回」みたいな時もあれば、「本日のお食事はプッシュアップのみ」のときもある。

この頃私の前の時間帯に34才の青年が入っていて、いつのまにか私のライバルである。

トレーナーが私の負けん気に火をつける。

「34才、今日は腕立て200回やった」

負けん気がボワッと燃え上がった。入会7ヶ月がトレ歴3年半の私と勝負しようとは笑止千万。

私は苦々しさを我慢しながら思った。

「踏み潰してやる」

というわけでこの日は目指せ200回。

34才はフル140回+膝つき60回だったというので、とりあえずフル150回に向かってひた走る。前に攻めるプッシュアップだ。

「攻めろ! もっと前!」

トレーナーの檄が飛ぶ。

前に攻めるプッシュアップはチョーきつい上に、筋肉痛が胸ではなく、背中側の腕の付け根に出る。とても痛い。腕の付け根という場所柄、日常生活がものすごく不便。

結果は、フル200回+膝つき20回であった。220回やっておけば当分追い越せないだろう、と心の中だけで思った。

こんな思い上がったことを声に出して言うのはまずい。トレーナーが聞いたら激怒して、34才に私を追い越させるに決まっている。私が喋ることはたとえ何気ないひと言でも彼にとっては怒りの種になるので、「何気ない」どころか今回のような本物の「上から」の場合、どのようなことになるのか考えるだに恐ろしい。

まあ私が怒りを買うのは仕方ない。私は世界一の嫌われ者だ。しかし気の毒なのは、とばっちりを受ける34才である。私をギャフンと言わせるために、きっと300回腕立てをやるはめになる。吐くよ。

 

どんなにきつくても、いや、きついからこそ、トレーニングをやっている間は現実から逃れられる。人の頭は基本一つの痛みしか感じないらしいから、筋肉痛は心の痛みを和らげたりもしてくれるのだ。

明日はトレーニングがあると思うと元気になる。

 

プッシュアップを200回やり抜けば、ミットに強いパンチを打ち込めば、自分を少し、マシな人間だと思うことができる。

 

| 羽生まゆみ | 体幹トレ日記 | 00:16 | - | -
パンプアップ(体幹トレ日記92)

『サンタクロース〜』のロケ地が決まったようだ。

ロケ地とはつまり、アイビーハウスのことである。写真と動画がグループラインで送られてきたが、かなりすばらしい。これは矢野監督としては大いに創作意欲が湧くところであろう。監督じゃない私だって何かが湧きそうなんだもの。美しいお庭もある。楽しみだなあ。

あ、でも私はひっそり出しゃばらないから、みなさん安心してね。

それと、うっちぃが録音で参加する。同じグループラインで「録音技師のうっちぃです。よろしくお願いします」といううっちぃのご挨拶を読んでじわ〜んと喜びがこみ上げてきた。なんだかすんごいスタッフの陣立てだ。玉組の創生期のメンバーが居て、成熟期のメンバーが居て、ピンクノイズグループが居る。

あと作曲家のマサシとドライバーのゆかりが居たら完璧だったなあなんて、しみじみ思ったりした。

今マサシは静岡に、ゆかりは鹿児島に居る。

 

今日もトレーニング頑張ったぞ。めずらしく怒鳴られなかった。たまにはこんな日があってもいい。

本日はプッシュアップ祭り。10分間のトレッドミルとラスト5分間の腹筋運動を除く45分間、ずーーーっとプッシュアップ。トレーナーと1セット交代でプッシュアップを続けていくのだ。私は10回1セットを20セット。たった20セットと思うなかれ、正しくやる20セットは本当に過酷だよ。

トレーナーも20セットだが、もちろんやっている内容は私とは違う。1セットが10回でもない。つーか私の知らないゾーンなので、どんだけきついのか想像もつかない。プランク姿勢のままぴょんぴょん跳ねたりする。化けもんだ。

合図はスマホが出す。前にも書いたが「スリー、チュー、ワン」の声が大嫌いだ。中に入っているのはガイジンの女である。おっぱいとお尻がものすごく大きくて、そこそこ美人だがものすごくというほどでもない見た目だと思う。いったんセットすると容赦がない。こっちのヘロヘロ具合におかまいなく決められた時間になると「スリー」としゃべり出すから腹立つ。

私としては「スリー」が始まるギリギリまで回復につとめたいところだが、もちろんそうはいかない。あちらさまのプッシュアップが終わったらすぐにプランク姿勢をとらないと叱られる。そこから「スリ−」までの間、お腹が弛まないようグーでガンガン下腹にパンチを入れられる。大変なのである。

「公演が終わっても毎日3セット、プッシュアップを続ける」

エバって宣言していた純一に見せたい本日の光景であった。

 

パンプアップが見られた。あちらさまの胸板もすごいことになっていたが、私もだ。鏡に映った自分の筋肉に見とれたね。膨らみが収まるまでずっと見とれていたかったが、調子に乗っていると大どんでん返しのお怒りを買うことになるので我慢した。

あー楽しかった。

 

競争相手がいると俄然燃える私の性格が可愛らしい。

| 羽生まゆみ | 体幹トレ日記 | 10:20 | - | -
雪のせいで(体幹トレ日記91)

美しい雪景色だった。交通の不便さえなければ、たまさかの雪は趣があっていいものである。

降り落ちる雪の中、真っ白に雪化粧した永山駅近くの木立群を、寒さも感じず眺めていたよ。「しんしんと降る」とはなんと美しい日本語なのだろうなんてことを考えながらね。

九州生まれのせいだろうか、雪景色って奇跡のような光景だといつも思う。

 

こんなに美しい日だったのに、まーたトレーナーと激しく喧嘩をした。メールでやり合ったのだ。面と向かってだけでなくメールでも喧嘩をしなくてはならない。本当に忙しい。

雪のせいで16時以降のトレーニングはキャンセルにするというメールがきたのが発端である。私は18時に予約を入れてあったからキャンセルチームに該当する。

なのでお伺いのメールを打った。

「16時に行ったらダメ?」

「ダメ?」ってところに私の遠慮が醸し出ている。私は遠慮のカタマリみたいな人なのだ。

今やっているトレーニングが終わるまで返信はないだろうと思っていたのに、わりと早いうちに来た。怒りのあまりトレーニングが終わるまで待てなかったらしい。私のメールがよほどお気に召さなかったに違いない。

タイトルは『わからない人ですね』

はあーーーァ?  このタイトルを見ただけで脳天から血が噴き出た。

怒りは向こうも同じである。「雪の降り方見えてますか?」で始まるメールは私への怒りに満ちていた。

まったくわからん。こっちはたったひと言質問しただけだ。怒られる理由がわからない。

なので私もすぐさま激怒メールを打ち返してやった。ほんとに忙しい。喧嘩にエネルギー使って痩せるね。ガリガリになりそうだ。

でもまあ、早く帰ったのは正解だったけど。

夕方から雪、とんでみないことになった。

 

さて、ノブちゃんが上記の文章を読んで喜んでいるに違いない。ケラケラ笑っているだろう。

ノブちゃんは、あちらのスタジオで知り合ったお友達の一人だ。一年前のクリスマス、ノブちゃんお手製のローストチキンを食べながら、オーナーも含めて三人で、二日前に突然退社したモヒカントレーナーのことを喋ったものだ。(H26.12.28「惜しまないままに 彁仮函

私は怒りと悲しみのまっただ中。一方、店長退社をその時初めて知ったノブちゃんは、驚きながら笑っていた。私たち三人はそろって「彼はトレーナーとしては天才であった」と言い、私は「しかし彼は性格破綻者でもあった」と言った。

なんとそのノブちゃんが、こちらのスタジオに入会したのだ。嬉しいなあ。

連絡先も知らないし、ずっと会ってもいなかったのに、ノブちゃんは自力で『サンタクロース〜』の公演にも来てくれた。びっくりした。嬉しい嬉しいびっくりだった。

 

ノブちゃんとオーナーと私。結局再び、三人とも天才トレーナーの指導を受けている。

| 羽生まゆみ | 体幹トレ日記 | 01:01 | - | -
スリー、チュー、ワン、ゼロ(体幹トレ日記90)

11月。稽古の完全オフは3日間だけである。

そしてこの貴重なオフに私はトレーニングへ行く。ミットを叩くと元気が出る。

昨日もミット打ちから始まったが、疲れがたまっているのかへなちょこパンチであった。ミットを打ったときの音が「ぱすっ」なのだ。あまりにもひどすぎてトレーナーにも叱られなかったほどだ。怒っても無駄なくらいひどかったのだろう。

そのあとは腹筋祭りだった。12分間ひたすら腹筋というのをやった。30秒ごとにどんどん違う種類の腹筋をやっていく。とにかくめっちゃ早くて煽られる。

腹筋運動といえば、膝を立てて寝転び、頭か胸に手をやって「どっこいしょ」と起き上がるアレを想像する人が多いと思うが、実はものすごくいっぱい種類があるということを、私もトレーニングをするようになって初めて知った。

12分は長いよ。いやあきつかった。スマホが30秒ごとに「スリー、チュー、ワン、ゼロ」と喋るのがチョー腹立つ。なにが「チュー」だ。英語の発音が本物なのでこれがまた癇に障る。

「ゼロ」のときに大急ぎで体勢を入れ替えなくてはいけない。裏返しになったり腹ばいになったりまたひっくり返ったりで大忙しなのである。スマホが「ワン」と合図を出すたびに、となりではヒロが自分もやりながら「プランク!」「急げ!」「もっと!」と叫ぶ。「ゼロ」の間にひっくり返らないといけないの。

 

このあともう一回ミット打ちに戻った。

「腹筋が入ったから打てるだろ」

あらま、ほんとだ。キレのいいパンチがビシバシ決まるではないか。

腰が気持ちいいくらいぐいんと回る。一周するんじゃないかと思った。

それで思った。やはり稽古のウォームアップに筋トレをやっているのは間違いではないのだ。身体のキレが一瞬でよくなる。筋肉が目覚めると言えばいいのか。

ウォームアップがきつすぎて後の稽古がヘロヘロになるという心配もあったが杞憂だった。身をもって知った。大丈夫だ、もっとやってもいいくらいである。プッシュアップはセット数を増やそう。雅紀や優太は余裕があるようだし、純一もきつそうな顔をしているだけで実は余裕があると思う。純はほんとうに悪い奴だ。

 

昨日最後の種目は私もプッシュアップだった。

10セット(100回)+6回。

この6回は罰で増えたぶんである。1回はちゃんと元の姿勢に戻る前に勝手に終わらせてしまったからで、5回は最終セットの際沈みが浅かった罰。

インターバルは1セットごとに30秒。25秒の時点で足を延ばしてプッシュアップ姿勢を取っていないと1セット増やされるので死にもの狂いである。

「ちゃんとやらないと1セット増やすからな」

このひと言で大概の無理難題をきいてしまう。

 

同じ1セットでも罰の1セットは本当にきつい。すでに限界を越えた1セットだからだと思う。

| 羽生まゆみ | 体幹トレ日記 | 08:24 | - | -
大きな声(体幹トレ日記89)

稽古はまだ始まったばかりだというのに、昼夜ぶっ続けで稽古場に居るとドッと疲れが出る。これまでにはなかったことだ。年齢のせいにはしたくないが、結局それが現実なのだろう。プッシュアップが100回できても関係ない。

しかしどんなに疲れていても忙しくても、とにかくトレーニングに行く時間だけはひねり出す。身体を動かすと元気が出るし、トレーナーに怒られるともっと元気が出る。トレーニングのあと稽古場へ入り、役者たちのへぼいウォームアップを見て、「さっきの私はなんてステキだったのでしょう」と確認するのも好きだ。

稽古場ではEricoが「息止めるなーっ! 死ぬよっ!」と叫んでおり、スタジオではヒロが「息しろ! バカ!」と怒鳴っている。力を出す時って、どうして人は息を止めちゃうんでしょうね。

声を出せば自然と呼吸するから、これもEricoが「声出せ!」とわめいている。プッシュアップのときはEricoが「イチっ!」とリードし、残りの役者が全員で「イチっ!」と続く。はっきり言ってErico一人の声の方が残り八人を合わせた声よりでかい。みんなゲロゲロでそれどころではないのである。雅紀が「Ericoさん、声でかいですよね」と悪口言っていた。

スタジオではトレーナーが怒鳴っている。

「脇締めろっ」

「脇締めろって言ってるだろ!」

「脇締めろってば! 何回言わせんだっ、バカっ!」

声がだんだん大きくなるにつれてガラも悪くなるというのが特徴である。

 

サーキットトレーニングがあった。

ジャンピングスクワット→ぴょんぴょんスクワット(今稽古場でもやっているやつ)→チンニング→ブルガリアンスクワット→プッシュアップ→腹筋。

以上で1サークル。これなんかまだましで、先週は種目と種目の間にいちいちミット打ちが挟み込まれてゲロ吐いた。このままでは心肺機能がものすごく強化されて、病気で危篤に陥ってもなかなか死ねないという怖ろしいことになりかねない。

ラストサークルの前にヒロから脅された。

「スピードが落ちたらもう一周やるからな」

ハアハアしながら私は思った。

「いかん。これ以上は無理だ。死ぬ」

そんなわけでラストは最後の力を振り絞って頑張った。

ヒロの激が大音声で私をあおる。

「急げ! 早く! もっと!」

そしてやりきった。スピードは落ちなかった。ああ、なんてステキな私。頑張ったぞ、私。

やれやれと、爽快な気分に浸っているとヒロが言った。

「もう一周」

飛び上がった。

「なんでよっ」

「さっきより2分も早い。まだ余裕がある」

「‥‥‥」

これだ。結局最初からもう一回やることが決まっていたのだ。

大きな声に乗せられてつい頑張ってしまった。

 

役者たちも、Ericoの大きな声に感謝してね。つい頑張っちゃうから。

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