羽生ノート

羽生一家玉組座長・羽生まゆみが気儘に綴る日々雑感です。
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懇々と

年末、匡人とやっと電話がつながった。

先にこっちから電話したのだが匡人は出ず、やっぱりダメかーぁとあきらめかけていたところへ、着信相手非表示の電話がかかってきた。いつもならこんな電話は無視するところだが、虫の知らせで慌てて出てみたら匡人であった。慌てていたので怒りの準備ができておらず、思わず挨拶しかけたがなんとかこらえた。

他人に懇々と説教するのは久しぶりである。私にもう、他人にお説教する元気はない。説教なんかしても自分が傷つくだけでバカバカしい。

しかし匡人は別だ。懇々と、懇々と、言葉を尽くした。懇々の「懇」は懇切丁寧の懇である。見本みたいな「懇々」であった。

たぶん匡人はこの世で私が最もたくさん説教した人間だと思う。知り合ってから別れるまで、芝居のダメ出しより、人としての途を説くことの方が多かったくらいだ。そして別れた今も、まだ「人たる者」を説かねばならない。なんてこった。

しかしはっきり言って、私のお説教に対しては匡人の方がEricoなんぞよりよほど素直だ。

匡人は「羽生さんの言っていることはわかる」と言う。

Ericoは「羽生さんの言っていることはわかるけどナントカカントカ」と言う。

もっともここが、男と女の違いなのかもしれない。娘の方が息子より母親には素直でないと聞く。

ま、いいの。初代主演のカズくんは、そもそも私の言っていることをちっともわかっていなかったから。懇切丁寧に物の道理を教えていても、途中からわけのわからない大喧嘩に発展していた。言葉が通じないと戦争になるしかないのね。

話が逸れた。匡人である。

懇々とお説教もしたが、激しく叱りもした。

「Ericoの浴衣を騙して取り上げておきながら、仲介に入った私に逆ギレメールを送ってくるとはどういう了見だ」

ぐうの音も出ないだろうと思っていたら、「そんなメールしたかなあ」と、オトボケ大作戦であった。ふん、私のスマホには、無礼千万な文章がきっちり保護をかけられて残っているぞ。一生残しておくつもりだ。

それから私のメールに、この羽生さんのメールに、大恩人である羽生まゆみさんのメールに、ブロック設定をかけたことについて厳しく追求した。

「よくまあそんな無礼千万なことができるよね。あなた、自分の立場をよーく考えてみ?」

「知らん。羽生さんの方が変な設定したんやろ」

これもオトボケ大作戦であった。

 

とにもかくにも、この電話でEricoに浴衣を返すことは約束させた。

「すぐに宅配便で送るのよ。Ericoは着払いでいいって言ってるから」

「わかった。Ericoの住所、あとでメールしておいて」

「ダメ! 今探すから待ってて。一度電話切るとまた面倒になって返さないかもしれない」

Ericoの住所はもちろん、忘れたかもしれないと思って本名まで教えてやった。ローマ字で送って万が一届かなかったら困る。一分の隙も与えない覚悟であった。

「エリコの漢字がわからなかったら平仮名で書いておけばいいから」

「そんなん知ってるわ。ヨムや」

「違う。ゴンベンに永久の永」

「だからヨムやん。歌を詠むのヨム」

しまった、そのとおりである。電話の向こうで匡人の勝ち誇った笑い声が聞こえた。

そして翌日、念押しのメールをしておいた。

「まさかとは思うけど、ちゃんと送ってくれたよね」

ところがメールといっしょに、なぜか「ただ今運転中」のラインスタンプを送ってしまったのだ。大失態である。この最も緊張感が必要なときに、こんなオトボケたスタンプをペッタンコするとは。匡人の再びの勝ち誇り笑顔が想像できた。

案の定の返信がきた。

「運転中ならアクセルとブレーキ踏み間違えてコンビニに突っ込んでよ。笑ってあげるから。ちなみに『詠む』ですから。覚えておきなさい」

 

地獄に堕ちろ。

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