羽生ノート

羽生一家玉組座長・羽生まゆみが気儘に綴る日々雑感です。
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私の稽古場

私の稽古場では、ワークショップ的な稽古は行われない。今もそうだし、劇団としての態勢が整っていた頃もやっぱりそうだった。

理由をいくつか述べる。

まず私がワークショップの方法論を持たないからである。方法論とはつまり、いわゆる『鈴木メソッド』や『平田メソッド』や『野田メソッド』と呼ばれるものだ。『羽生メソッド』があればチョーかっこいいが、残念ながら私に確立されたメソッドはない。

とは言え、私は中学の演劇部から始まって途方もない年月を演劇とともに生きてきたから、実は「らしいこと」をやろうと思えばやれる。役者時代にやっていたことをあれこれ組み合わせて『なんちゃって羽生メソッド』を作ればいいのだ(特に演劇部や大学のサークルなんぞ、公演はめったにないのに稽古時間だけはめっぽうあるから毎日がワークショップだった)。そんなことは簡単だ。らしいダメを、いくらでも飛ばせる。

しかし自分で「なんちゃって」だとわかっているメソッドを、どうして役者達にやらせることができるだろう。そんな恥ずかしいことはできない。私はダメを出すとき下を向いてしまうだろう。そのとき顔が赤らんでいるかもしれない。

あらためて言うまでもないが、私はワークショップを否定するものではないよ。私は、私自身のワークショップを否定しているだけである。

 

ワークショップをやらない理由はほかにもある。

つまんないからだ。

演出の私も上記のような按配で楽しくないが、役者だってきっと楽しくない。

私もフリーの役者時代、参加した劇団や集団でちょいちょい「基礎練」と称した稽古をやらされたものだ。良く知られたものにエチュード(即興芝居)があるが、ほんとにやりたくなかった。たいがいホンがあがっていないことをごまかすための「つなぎ」の基礎練だったから、やる気が起こるはずもない。こんなことをやって本当に役者力がつくのだろうかという疑問はつねにあった。

もう一回言っておかねばならんが、立派な演出家が指導するエチュードを否定するものではない。私はエチュード芝居の公演に参加したことがあり、ヘボ女優の私にしてはめずらしく良い芝居をしたことさえある。

 

言いたいことはこうだ。

私は私の稽古場で、私と役者が楽しいと感じることだけをやる。楽しくないことはやらない。それで役者のクオリティが上がらなくてもかまうものか。(そもそも「役者のクオリティ」ってなんだよ。私は今後一生クオリティという言葉を使わない覚悟だ。)

役者は私が指導する嘘くさいメソッドをやる必要はない。嘘で本物の力がつくわけもない。稽古舞台の上で役者自身が生きればよい。本物の台詞を喋ればよい。私が出すダメに耳を傾ければよい。

 

それが私の稽古場だ。

 

次回に続く

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