羽生ノート

羽生一家玉組座長・羽生まゆみが気儘に綴る日々雑感です。
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桃と刺青

この頃、バスツアーに参加している。イチゴ狩りやらブドウ狩りやらをこれで経験した。

この度はモモ狩りである。狩りもさることながら、バス車内の空気感が楽しい。サービスエリアも好きである。トイレ休憩はかなりテンションが上がる。20分という限られた時間を隙なく有意義に使い切りたいと頑張ってしまうね。最後にソフトクリームを買ってバスへ戻る。

参加者の平均年齢やら男女比やらは、もちろん参加するツアーの種類によって違いが出る。山歩きなどはぐっと年齢が上がり、オジサマ達の参加が多くなるし、花園系は若いカップルの参加があって微笑ましい。

今回はビミョーな年齢の男子三人組が参加していて少し驚いた。めったにないというか、初のパターンである。なぜ私の興味を引いたかというと、なにしろ見た目が恐い。1人目はガタイがよくて格闘家の風貌。短髪で派手なピアスを装着している。2人目は外国のサッカー選手みたいに両腕にびっちり彫モノが入っていた。指輪を8個くらいはめている。残る3人目だけは細身だったが、それでもなーんか不気味というか、妙なオーラがあった。吟遊詩人に違いない。

3人とも30代後半といったところか。都会の片隅の「小洒落ているけどイケナイトコロ」でクスリやっている姿はイメージできても、桃をちぎっている姿は想像できない。どうして桃なんだ、と私は思った。

もしかしたら桃が大好きなのかもしれない。しかしなぜオバチャマが圧倒的多数を占めるバスツアーなんだろう。妙齢の男子が三人寄って、三人とも運転免許証を持っていないということがあるだろうか。大きなガタイを窮屈なバスの座席に押し込んで、三人は静かにおしゃべりしていた。ツアーを心から楽しんでいるように見えた。

私はずっと観察していたわけだけれど、彼らの一挙手一投足が微笑ましかった。「彼らはいい子たちだ。大変お行儀が良い」と思った。

たとえば、三人の席は前の方だったのだが、バスを降りるときは他の人たちを通してから最後に降りていた。

また、バスの中や団体行動のときは長袖の上着を羽織って刺青が見えないよう配慮していた。(私も自由行動のときに初めて見つけた。Tシャツ姿になっていたのだ。まさか私に観察されているとも夢にも思っていなかったのだろう。)

一番感心したのはビュッフェ形式の昼食の時だった。私がポケッとしていて格闘家さんの前を割り込んでしまい、

「あっ、ごめんね」

私があやまると彼はにっこり微笑んで言った。

「いいんですよ。ゆっくり選んでください」

驚いたね。こういうとき「いいんですよ」は言えても、「ゆっくり選んでください」なんて台詞は若い男の子の口からなかなか出るもんじゃない。

桃畑に到着すると、三人ともいきなり携帯を頭上に掲げて写真を撮りはじめた。インスタ用だろうか。それとも思い出の一枚? どちらにしろやっぱり桃が大好きなのだと思った。

ちぎってよいのは2個である。私なんぞどれでもいいやととりあえず手の届くやつをちょいちょいとちぎったが、三人は脚立を運んできて厳選の桃をちぎっていた。脚立に登った刺青さんは、松本伸一郎が照明を吊るときみたいにかっこ良かった。

 

冷えた桃を食べながら、もう二度と会うこともない彼ら三人のことを思い出している。目いっぱい楽しんでいたなあと、なんだか心があったかくなるのは、桃畑の中の刺青がファンタジーだったからだと思う。

 

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