羽生ノート

羽生一家玉組座長・羽生まゆみが気儘に綴る日々雑感です。
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諸先輩

大昔の演劇仲間が演出や出演をしている舞台を観てきた。3人とも60才をいくつか超えている、仲間と言うのもおこがましい諸先輩方だ。3人のうち誰が死んでも私は駆けつけねばならない。(舞台での姿を観る限り、先に死ぬのはたぶん私だろうが。)

お葬式に駆けつけねばならないのだから芝居の公演に駆けつけるのは当然である。というわけでこの度の観劇は紛うことなき義理! であった。義務! であった。ところが‥‥ところがである。面白かった。しかも、とても面白かった。

抽象的な芝居だから話のスジはよくわからない。でも台詞が上等できれいなら、私にとってスジを追うことはあまり重要ではない。

会場はコンクリートがむき出しになったビルの地下。かなり広い。むき出しコンクリートをそのまま利用した舞台に、銭湯の浴槽やカランが、打ち捨てられたようにセットされてあって、これがビルの廃屋感を醸しだしている。好き系の美術だ。リアルセットである。(どうして銭湯なのかは最後までわからんかったが。初日を観たはずの麻理枝に今度訊いてみよう。麻理枝はどんな芝居のスジにもけっこついていける人なので。)

BGMは生のバンドでこれも良かった。生の楽器がBGMを奏でる芝居というのはちょいちょいあるが、とってつけたようなことに成り下がっている場合が多く、今回のように芝居に溶け込んでいるのは珍しい。柱が邪魔して私の位置から演奏風景がほとんど見えなかったのが残念だった。チェロみたいなものがちらっと見えただけだった。

暗めの照明も梁やら柱やらに当てる灯りがきれいだし、カットアウトがめっちゃカッコ良かった。

やっていることは目新しいものではない。鼻をくすぐる匂いは、はるか昔のアングラ芝居である。だから「黴臭い」という批判を覚悟しなくてはならないだろう。だがはたして、今の小劇場に目新しさはあるだろうか。10年前か100年前かの違いだけだ。だとすれば、古かろうが新しかろうが、頭の良い人達が丁寧に創る芝居が私は好きだ。

 

大谷さん、山中さん、麻実さん、お疲れ様でした。

山中さんも良かったけど特に麻実さん、良かったなあ。

麻実さんは、ゆりえと同じく後藤さん(私の役者時代の演出家。2014.11.10ほかの羽生ノート参照)の芝居で主役を張っていた女優である。そしてゆりえと同じく最後まで後藤さんの芝居に出ていた。当時、同じ舞台に立っていながら後藤さんの右腕だった麻実さんは私には遠い人だった。

けれど時がたち、こうしてまた芝居を観ることができ、けれど時がたてば、こうして「時」などなかったように話すことできる。客出しで麻実さんが私に見せてくれた笑顔が嬉しかった。

普段はどこへ行っても一番年上で、演出家だからエバっていて、役者には煙たがれる私だが、会えば「へへーっ」とへりくだらなければならない人達が居ることが嬉しい。「へへーっ」とへりくだっている私が好きだ。一生変わらない上下関係に酔う。

大谷さん、お疲れ様でした。次回作をたのしみにしています。

 

そういえばサナエとヤンも来ていたなあ。二人とも後藤さんの芝居でヒロインを張っていた。

なによっ、この日集まった4人の後藤チルドレンの中でヒロインをやらせてもらえなかったのは私だけじゃん!

まあ仕方がない。私はその程度の役者だったのだ。

 

などと、いまだ根に持っている私を後藤さんはどう思うだろう。

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