羽生ノート

羽生一家玉組座長・羽生まゆみが気儘に綴る日々雑感です。
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パール二世

第一波は過ぎたようだ。なんとか生き延びた。まわりの知人友人演劇関係者たちも皆無事だったようである。良かった。

今後Withコロナだそうで、それがいったいどういう日々になるのか想像もつかないが、マスクの取り外しがかなり先になることだけは確かなようである。ちゃんと装着しておかないと、感染が怖い以上に肩身が狭い。

日本が諸外国に比べて被害が小さかったのは、この極めて日本的な「肩身が狭い」思想によるものではないかと思われる。似たような言葉で「世間を憚る」とか「面目が立たない」とかも良い日本語だなあと思う。

 

数十年ぶりにロバート・B・パーカーを読んでいる。スペンサーという私立探偵が主人公のハードボイルドである。

実はこのスペンサーシリーズは狛江市立図書館に日参していた1984年から1985年頃、まとめて読んだという鮮明な記憶がある。ネットで調べてみると、タイトルに記憶のある11作目『告別』の刊行が1985年で、1986年刊行の12作目『キャッツキルの鷲』以降にまったく覚えがないので、私の記憶がwikiによって裏打ちされた格好である。

パーカーは2010年に亡くなるまでエネルギッシュに書き続けたようで、スペンサーシリーズだけでも40作にのぼっている。つまり私が読んだのは初期の11冊にすぎないわけだ。なーんだ。

1985年以後、本屋さんで新作を見つけてもなぜ読まなかったかというと、実は主人公のスペンサーがあんまり好きではなかったからである。「もうこのあたりでいいや」って感じだったのだ。

どこが気に入らなかったのだと訊かれても困るのだが、あまりにも健康的で完璧なキャラに付いていけなくなったのかも。「アル中」とか「ヤク中」とか「暴力ふるいがち」とか、悩み多き探偵の方が好きという、あくまで好みの問題なのだろうと思う。

今回、記憶違いを一つ見つけた。恋人の名前である。私はてっきり、スペンサーの恋人はギター製作の仕事をしているロビンさんだと思い込んでいたのだが違った。スーザン・シルヴァマンという精神科医の美人だった。

そうだった。シルヴァマンだった。思い出した。

ではロビンさんはいったいどこの誰だ。わからん。

 

アメリカのミステリー作家というのは女性の好みがみんな一緒だとよく思う。美人で、豊かな長い髪で、背が高くて、ものすごく知的で、会話はウィットに富み、ハイレベルの職業についており、そして美しい足を持っている。「世間を憚る」なんて言葉は知りもしないし、また知る必要もない女達だ。

今読んでいる『背信』では、足以外にもスーザンの僧帽筋を美しいと誉めていた。「はいはい」てな感じである。なーんか面白くない。僧帽筋だよ? どこだよ、それ。

健康な探偵も不健康な探偵も、このような素晴らしい女性と深く愛し合っているところはだいたい一緒である。そんな二人が食事をしたり部屋で過ごす様子がちょいちょい物語の中に差し込まれるのだが、「このシーンいる?」とよく思う。

 

久しぶりだというのに面白くもなんともない、書評にもなっていない悪口を書いてしまった。ブスで、髪は刈上げの上に薄いのが悩みで、背が低くて、ウィットに富んだ会話どころか普通にさえ喋れない私の嫉妬心によるものである。ごめんなさい。

どうして突然こんなお話になったかというと、『背信』に、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターが登場してうれしくなってしまったからである。

「知ってる!」と叫びたくなった。

そう、『シリウスあるいは犬の星』の歩太である。『シリウス〜』では、歩太が自分の名前について「血統書つきのドイツ犬なのにポタはないだろ」と愚痴るシーンがあるが、『背信』に登場するジャーマン〜はパール二世という名前であった。さすがである。歩太の愚痴を思い出して笑ってしまった。

 

歩太の独り言シーンは面白かったなあ。でも純一にはナイショだが、書いているときの方がもっと面白かった。

| 羽生まゆみ | - | 23:28 | - | -
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