羽生ノート

羽生一家玉組座長・羽生まゆみが気儘に綴る日々雑感です。
公演日発表とオマジナイ

いよいよ公演日が解禁になる。

今現在は土曜日の夜。日曜が明けたら書いていいんだって。なんで今じゃダメなのよっ。

どうやら情報解禁は大安、チケット発売日は友引というオマジナイがあるらしい。Ericoのオマジナイだ。

私は別に仏滅だろうが天皇誕生日だろうがいっこうにかまわないのだがオマジナイは神聖なものだから守らねばならぬ。あとで何かあって、「あれは羽生さんがオマジナイを無視したせいだ!」などと責任を問われたらたまらんからね。

そういえば東京オリンピックはオマジナイが足りなかったのではあるまいか。振り返れば、国立競技場の設計変更に始まって、ポスターの盗作騒ぎやらマラソン会場の変更など気分が盛り下がることだらけである。

そしてとうとうオリンピックそのものの中止も取り沙汰されるようになった昨今、その原因がまさかの疫病である。平安時代かよっ。

心から、がんばれニッポンである。がんばれニッポン、がんばれ小池都知事、がんばれ桃田!

小池さん、今からでも遅くはない。水ごりするなら付き合うよ。怪しいマジナイ師のバーサンも紹介できる。

 

中止って嫌な言葉だ。背筋が凍る。もし本番に入ってインフルエンザの役者が一人でも出れば、公演は即中止にしなければならない。考えるだに恐ろしい。

これまで30本以上の芝居を打ってきて、本番中何事もなかったことを奇跡のように感じる。

最大の危機は「役者が牡蠣に当たっちゃった事件」だろうか。(公演2日目だったか3日目だったか、牡蠣に当たって入院したマチャを匡人が引きずり出してきた事件。)あれは危なかった。危うく公演中止だった。以来役者たちには、本番期間中に牡蠣を食べないよう訓示している。

今後心配なのはむしろ私自身である。もう長いこと高熱を出していないのがむしろ不安。そろそろ来るんじゃないかと恐れおののく。まあ本番中に私がコヤに居なくてもなんとかなるから、役者がインフルになるよりはマシだ。

これが稽古期間中だと困る。インフルだとさすがの私も休むしかないが、役者の「自主練して頑張る!」なんて台詞、マジナイ師のバーサンの占いより信用していない。私が休んで役者が喜ぶと思うと、絶対にインフルだけにはなるもんかと思う。

 

なんてことを書いている間に日曜日が明けた。

公演日の発表だいっ。

2020年12月19日(土)〜12月27日(日)

 

どうだ麻理枝! 私が発表したぞ。

乞う、ご期待! て、書いていいんだよね? 口、滑らせてる?

| 羽生まゆみ | 2020玉組会議 | 00:01 | - | -
指示待ち女

スマホを一日に30回は開けると自慢したばかりなのに、Ericoの「KAZUHOさんとここで待っていますメール」に2時間近くも気づかなかった。シマッタ、屈辱的だ。

でも大丈夫。何も知らずに入ったカフェにEricoとKAZUHOは居た。

私の姿を見て二人はびっくりしたらしい。

「既読がつかないのに羽生さんが来た」

ふん、私は鼻が利くのだ。匂いでわかる。

というわけでミケのライブへ行く前に玉組会議。新たな報告と相談事を聞いた。

私は自信満々に言った。

「全部まかせる」

EricoとKAZUHOの前では私も「指示待ち女」に成り下がる。だって口の出しようがないんだもん。

KAZUHOからの指示が出た。

「出演する役者たちの、クレジットの順番を考えておいて下さい」

おおっ、やっと私にお仕事がまわってきた。いいぞ、やる気満々だ。

でもこれは簡単過ぎるお仕事である。すでに決まっている。クレジットは年齢順。上からか下からかはまだここには書けない。(匂わせが多いぞ私。本当は、書けない事情を喋りたい。ああっ、口が滑りそうだ。)

Ericoからの指示は、

「羽生さん、タイトル決めないと」

ええっ、もう? まだ一行も書いていないのに。

これまでなら間違いなくムッとしているところである。実際200回はムッとしてきた。

「私はね、麻理枝やEricoにタイトル決めろって言われるのと、役者達に衣装のイメージ訊かれるのがいっちゃん嫌なのっ」

などと冷たく言い返してやるのが常であった。

でも私は大人になった。こんなことでいちいち腹を立てたりしない。今回はひねり出すよ。玉組会議の女達にはいっぱいお世話になっているからね。私だってやるときはやる。

ちなみに、衣装はともかく、その他諸々何かにつけ「羽生さんのイメージは?」と訊かれるのは本気で嫌だ。

イメージなんか微塵もないことがバレてしまうからである。

 

今夜もまた、グループラインが大騒ぎだった。私は入力がモタモタしているので、クエスチョンマークはどこ押せばいいんだーっ、などと焦っている間にお話し合いのテーマはガンガン移ってゆき、私はオタオタするばかりである。返事書いているヒマがないのでとりあえずスタンプ押しまくっている。クールな私のイメージが台無しだが仕方ない。スタンプって便利。

役者がほぼ出そろったので(すごい! 瞬く間に決まった。)、役者達のフルネームをライン画面上に並べてほしいとポツポツ入力していたら、送信ボタンを押してもいないのにいきなり名前がずらっと出て、一瞬びびった。どうして思っただけで通じちゃうのだ?!

 

こういうところがKAZUHOのすごさである。Erico以上に気の利く女がこの世に居るとは知らなかった。

もうKAZUHO無しでは生きていけない。KAZUHOの指示待ち女として今後の人生を歩みたい。

| 羽生まゆみ | 2020玉組会議 | 13:55 | - | -
水漏れその後

水漏れ事件のその後を報告するのを忘れていた。

2月に入ってやっとすべてが片付いたよ。いやあ、大変だった。天井から水が落ちてきたときも大変だったけれど、そのあと管理会社や施工会社の下請けの下請けと電話のやり取りをする方がもっと大変で、「うちの木村に電話させるから打ち合わせは彼女とやって下さい」といういつもの台詞を言いそうになった。

何が嫌だったかと言うと、こっちが何も言っていないうちから、とにかく「うちは何もできません」のアピールがすごかったことだ。責任を負いたくないというものすごい緊張感が電話口から漂ってくる。私は工事日程の質問をしているだけなのに、まるでクレームに対するように身構える。絶対に言葉尻を捉えられてなるものかという悲愴なまでの決意である。

これはまあやたらクレームをつけたがる現代の風潮のせいではある。気の毒とは思うが、しゃべっていて気分が悪い。

施工会社の下請けの下請けの場合は、「家具は必ず他へ移しておくように。うちでは椅子一つ動かしません」のアピールだ。打ち合わせの間じゅう何回も言うのでいいかげん頭にきた。

「知ってる。やっておくって私、何べんも言ったよね。あと何回言えばいいの?」

冷たく言ってやったら黙りこんだ。ふん。

というわけで、1003号室弟の登場である。家具を動かすのも、新しいカーペットを敷くのも、粗大ゴミの日に古いカーペットを捨てるのも、みーんな1003号室弟が手伝ってくれた。今では私んちに最もたくさん入ったことがある赤の他人である。光栄に思ってもらっていい。

感心したのは、私の嫌いな「指示待ち男」ではなかったことだ。ちゃんと頭を使う。「こうしたらどうでしょう」と提案もする。そんなわけで仕込みを手伝わせたいと思うほど気に入った。

そう、私たち玉組の女にとっては「男の価値は仕込みで決まる」のである。

ほんと、いいもん見つけた。水、漏らしてくれてありがとうなのであった。

 

公演の準備も着々と進んでおるよ。昨日、今日と、続けざまに女優が2人決まったし。あまり遠くないうちにHPに公演情報載せられるのではないかと思う。その前にちびちび羽生ノートで口滑らせてKAZUHOに叱られたい。

こういった情報は「2020玉組会議」というグループラインであがってくる。楽しくてたまらない。これまで1日に3回くらいしかメールチェックなんかしなかったのに、最近は30回はスマホを開けている。2020玉組会議のところに,箸△箸の数字があるとワクっとするね。しかし悪い情報が上がる可能性だってあるわけで、開けるときはそれなり緊張する。そんな緊張感もまた楽しい。

上記女優情報を得たときは「歓喜して踊るパンダ」のスタンプをぺったんこしてやった。

 

おっと、Ericoから新情報。

ええっ、某オジサン俳優が出演を了承したとのこと。

詳細は明日話すとのこと。今ラインで言えないってことは何かあるのね。ドキドキだわ。

 

明日は玉組の女優ミケのライブだよ。

その後Erico、KAZUHOと打ち合わせ。あー忙しくてステキ。

| 羽生まゆみ | 2020玉組会議 | 23:22 | - | -
行き当たりばったりについての何度目かの書き込み

演出家のブログなのだから、たまには創作について話をしよう。

つまり、どのようにホンを書くかである。ここに何度も書いてきたことであるが、新しい読者も3人くらいは存在すると思うので。

 

私には普段、書きたいことがまるで無い。作家によっては日頃からテーマをいくつか抱えていたりもするらしいのだが、私にそんなものは無い。

私に創作意欲が湧き出てくるのは、俄然やる気が出てくるのは、出演の役者がはっきり決まったときである。それまでは台詞なんぞ一行も書きはしない。

だから、麻理枝やEricoから出演の依頼があったとき、役者たちは「どんな役なんだろう」とか「台詞はいっぱいあるのだろうか」と考えても無駄である。私はまだなーんも考えていないのである。

過去、Ericoに誘われた役者が、私と直接話したいとのことで電話をかけてきたことがある。(ここにも書いたことがある。)

どんなストーリーなのかと探りを入れ、自分がどんな役なのか更に探りを入れたあげく、彼は言った。

「稽古期間と映画の撮影が重なるが、もし芯を取る役なら玉組の稽古を優先してもいいとマネージャーが言っている」

なんと、私と取り引きしようと言うのだ。驚いた。

探りを入れられている間、今は何も決まっていない旨を、私はホンの書き方を交えながら丁寧に説明したのだが、何も理解していなかった、というか私の言葉を信じてもらえなかったのである。

 

ホンの書き方は作家によって千差万別だと思う。まずストーリーを箱書きしてから書き始めるという作家もいれば、行き当たりばったりに書くという作家もいるだろう。私は完全に後者である。

「何もないところからなどと言うが、そんなことはおよそ信じられない。書きようがないではないか」

当然の疑問である。

私が最初にやる作業は、チョーメンの第1ページに、出演する役者の名前を縦にずらっと書き、横に役名を付けていくことである。(この作業はなぜか手書き。PCではない。たぶんオマジナイみたいなものなのだろう。)

それから、いったいここはどこだと考える。物語の背景となる場所(湖畔とか深い森とか)と、実際に役者が芝居をする場所(バンガロー風の邸宅とか階段があるとか)を考えるのだ。

そしてキャラクター同士の関係を仮に、あくまで仮として考える。この人とこの人は叔母と甥とか、この人達は幼馴染みとか、そんなことだ。この時点では仮でしかない。

そんなことを集中して考えている間に、何かがぴかんとひらめく。私はそれを演劇の神様のご降臨と呼んでいる。神様は私に何かを授けてくれる。それはたいがい「絵」であることが多い。湖畔に轟く銃声と飛び立つオオハクチョウ、クローバーの絨毯に寝転ぶ幼い兄弟、月光輝く湖で泳ぐ馬とかね。そんな絵を結びながら物語の筋ができてゆく。

今私は『いななきの森』を例にとったわけだけれど、これも役者の顔ぶれを見て4人兄弟の話にしようと思った。4人兄弟の物語にしたいから4人の男優を集めてね、と言ったわけではない。

『いななきの森』は内藤家の家政婦である砂子の長台詞から物語は始まる。なぜ砂子に喋らせることにしたのかは思い出せない。過去を語るのは内藤家の当事者ではない方がいいと思ったのかもしれないし、単にEricoの長台詞を聞いてみたい衝動にかられただけなのかもしれない。(危険な衝動である。)もう忘れたけれど、Ericoに長台詞を喋らせたかったから、Ericoを家政婦にしたのかもしれない。

そうやって物語は創られていく。書き始めてから創られてゆくのだ。

 

まだ書き始めてもいないのに、何かの「絵」を見てしまうこともある。私のいけないところはそれを黙っていられないことだ。書き始めていない時点で思いついちゃったことなんぞ大概が変更になるのに、よけいなことを口走ったせいで役者に妙な期待を抱かせてしまったりする。

「Erico、次は演歌歌手だからね」

「えっ、イメージで言うと坂本冬美ですか」

「うん、そう」

で、髪の毛をドッカーンと結い上げた妖艶な演歌歌手をEricoは想像しちゃうわけである。当然である。

ところが稽古が始まると「髪型はオカッパ」などと言われてしまう。Ericoのガッカリは想像に難くない。

というわけで何が言いたいかと言うと、役者達は初読みの際、ホンを読んでガッカリしないでね、ということだ。ストーリーはまだわからない。キャラもわからない。何もわからない。だから何も想像しないで。想像するときっとガッカリする。

今この書き込みをしている今日、物語は何も決まっていない。オジサンたちが歌を歌うとか、舞台を半地下にするとか口走っているが、はっきり言ってそれもどうなるかわからない。

私はまだ、一行も書いていないのである。チョーメンに、役者の名前さえ記していない。

 

めっちゃ言い訳がましい書き込みになったぞ。

私の真意は伝わったかな?

| 羽生まゆみ | 2020玉組会議 | 16:40 | - | -
会議のちランチ

本日は2020玉組会議の打ち合わせが新宿で行われた。

うちは(あえて「うち」と言ってしまうが)女たちが優秀なので、ガツガツといろんなことが決まっていく。今回は特にすごい。今日は、ほぼ本決まりの稽古スケジュールが出た。公演は12月なのに!(これにははまあ深い理由もあるのだが、今はまだ言えない)

もちろん今後変更もあるだろうが、役者達の都合も充分に考慮した、「うーん、すごい」と唸ってしまうものであった。本当に唸ったし。KAZUHOや麻理枝はこれを作るとき、試行錯誤しながら吐きそうになったと言っていた。ものすごいパズルゲームだからだ。

すごいなあ。私ではとてもこうはいかない。

いろいろ書きたいこともあるのだがこれ以上書くと筆を滑らせそうなのでやめておこう。まだ発表できないこともある。

 

打ち合わせの場所はベローチェだった。テーブル小っちゃいし変なところでやるなーと思っていたのだが、理由は食べ物のあるところだと私が食べちゃうからであった。実際ベローチェでもピーナツバターサンド食べたし。

私がカウンターで頼んでいたら、テーブルの方からKAZUHOの慌てたような声が聞こえてきた。

「あっ、羽生さん頼んじゃった」

Ericoが言う。

「羽生さん、打ち合わせが終わったらランチしましょう」

なんだ、ランチするんだ。最初11時の予定だった待ち合わせ時間が10時半になったので、てっきり午後は誰か予定があるのだと思っていた。お昼はどこで食べようかな−、サイゼリアで手羽先かなーなどと、ひとりぼっちランチを考えていたのだ。

もちろんする! サンドイッチごときでお昼が食べられなくなる私ではない。

 

ランチはもうすぐやってくる私のお誕生日のお祝いであった。

予約されたお店に行ったらすでにテーブルがセットされてあって、ランチョンマットに「happy birthday」と書かれてあったから、あっさりバレて麻理枝が笑った。

おいしかった。チキンのお料理もおいしかったけれど、焼きたてパンがそりゃあもうふわふわのあつあつで絶品であった。

気の置けない女子とのランチは楽しい。大昔、公演が終わったあと、出演した男優達を呼んでご飯食べたことがあったが、それがちっとも楽しくなかったという話をした。2回くらいあったと思う。しかも私のおごりで。3回目は間違ってもするもんかと決意したものだ。

あー楽しかった。

女子会らしく化粧品やハンドクリームの情報も仕入れた。帰りにさっそく買った。

とっても高価な化粧品だから、みなさんにはお勧めできない。というか、なるたけ情報は自分だけのもにしておきたい。世の女子はすべてライバルである。若い頃はライバルなんぞものともしない余裕があったが、今は切羽詰まっている。ギリギリである。だから絶対に教えない。

 

ヒント。青い缶とだけ言っておこう。

| 羽生まゆみ | 2020玉組会議 | 23:40 | - | -
最近のモヤモヤ

トレーニングのあとヘロヘロになった。スタジオを出たあととにかく一番近くの喫茶店へ入った。アイスティにガムシロ2個を放り込んでがぶ飲みして、やっとひと息つく。薬の切れたヤク中である。これよ、これこれ、この感じ。トレーニングのあとはこうでなくっちゃ。

トレーナーのタッキーのことはまだよくわからん。去年まで数年間、北海道の富良野で、友達がやっているメロン農家を手伝っていたとか言うし。私は思わず「富良野にジムはあるの?」と訊いてしまったよ。なにしろ私の頭の中の富良野は『北の国から』だからね。水は山からパイプで引いて、薪でご飯炊いて、キタキツネが普通に歩いているような場所だ。タッキーの筋肉は薪割りとメロン運びで培われたものなのかもしれない。

私には珍しく、なぜかタッキーに人見知りをしていない。1セット終わるたびに2分もインターバルがあるから、そのたびに緊張することなくお喋りしている。キンニクに関係したこともあれば、まったく関係ないこともある。

そんな時間に、ジムでフリーウェイトのコーナーに入っていく勇気が出ないという相談をした。いざバーベルを持ち上げようとして持ち上がらなかったら恥ずかしいとか、バーベルラックの高さ調整の手順がわからなくて恥ずかしいとか、主に「恥ずかしい」が主題であった。

で、ベンチプレスを一人で始めて一人で終了するまでを実施指導してくれた。ラックに掛けるのを失敗した時どうすればよいかなど、とっても参考になった。

さっそくジムで挑戦した。上手にできた。とは言っても、上手にできたのはバーにプレートを装着していない「棒だけ」の状態だったからで、今後「バーにプレートを装着する」という難易度の高い種目に挑戦しなくてはならない。大変である。装着作業の際、ガチャコーン! なんてでっかい音をたてたら恥ずかしくて舌噛みたくなるだろう。

 

早くホンを書き始めたいが、なにしろ役者が決まらないことにはどうしようもない。それでこの頃何をしているかというとテレビを観ている。

Ericoには絶対怒られるな。

「テレビを観ると頭がバカになるって言ってたくせに。劇団員にテレビ禁止令発動したよねっ」

実際ものすごくバカになっている。身をもって証明するとはこのことである。

で、テレビを観ていて最近とっても気になるモヤモヤがある。

それがこれ。「素直にうれしい」

芸能人やスポーツ選手へのインタビューで頻繁に登場するこの台詞が、私にはどうにもこうにも意味不明なのである。「うれしい」に「素直」をくっつける意図が理解できず気持ち悪い。

良く取れば、謙遜の匂いをぼんやり感じる。この頃の芸能人は言葉遣いにおける「謙譲」にヘンテコリンな神経を遣っているので(「させていただく」の多用が一例)、その一派かなと思う。とするとこの「素直にうれしい」は「本当はうれしいなんて大それたことを言ってはいけないのだけれど、ここは思い切って素直な気持ちで言いたいと思います。スミマセン」てことなんだろうか。

しかし「素直」というのはそもそも褒め言葉だから、自分で自分のことを素直と言うのは謙遜どころか高慢も甚だしいところである。第一「うれしい」に大それた感はない。

うーん、わからん。

もう一つ可能性があるのは「率直」の言い間違いである。ホン読みの際も、率直を「スナオ」と読んでしまう役者がけっこう居る。率直という言葉は普段あまり使わないから確かに間違いやすい。

「率直に言ってうれしい」が、この頃の傾向である「言葉の短縮」で「率直にうれしい」となり、率直と素直が混同して「素直にうれしい」となった。という説である。けっこうこっちが当たっているような気がするのだがどうだろう? とにかく気持ち悪くてたまらないので、「素直にうれしい」を使っている人はぜひ言葉の意味(意図)を教えてほしい。モヤモヤを解消したい。

その上で、三振10個取った高校球児17歳にあえて言いたい。「うれしい」の前に「素直に」は必要ない。

 

炎天下の甲子園、汗をきらめかしながらただ「うれしいです」と言えば、ただ言えば、「ああ、なんて素直そうないい子なのだろう」と、大人達の胸はキュンとなるのである。

「素直」というのは、自分じゃない誰かが褒めてくれるときに使用される言葉である。

| 羽生まゆみ | - | 22:43 | - | -
女芝居はとっておく

発表が遅くなったが、劇場が決定した。

新宿アットシアター。日時は12月末とだけ言っておく。(まだ2020玉組会議の許可が下りていないの。)クリスマスは挟むよ。というわけで、ご存じ『オバケのイヴイヴ』シリーズの一環である。

キャパ26の小さなコヤだ。新しくてきれいだしタッパもある。照明や出捌け口など、ちょっと面白い使い方ができそうなのが気に入って決めた。パネルを立てる広さはないし照明機材も持ち込めないので、コヤの持ち物をありったけ使って創ろうと思う。

なんてことを書いていたら、ソニー(園部啓一)から出演を承諾するラインがきた。

テンション上がる。さっそく書きたいぞと思い、ソニーにライン。

「このこと公表してもいいの? まだナイショ?」

「え? いいですヨ」

ソニーは大きな事務所に入っているから気をつけねばね。

他にも決定した役者がいるのか不明である。山中さんとトミーの言質は取ってあるから二人に関しては大丈夫だとは思うが。次回の玉組会議でおおよそのことがわかるだろう。

私がEricoにオファーの指令を出しておいたマチャと里美は出演がかなわなかった。二人とも子育て中だから無理だろうと覚悟はしていたが、やはり無理だった。本当は玉恵も呼びたかったのだが、これは赤ちゃん生んだのがついこの間なのでいくらなんでもと思い最初からあきらめた。この三人が居たら面白かったんだけどなあ。

マチャと里美。懐かしい。私は二人に対して大きな罪悪感と深い後悔を背負っている。これを解消する機会がほしいと、ここ数年思い続けているのだ。稽古場で二人と過ごせたら、私は私の思いを率直に伝えることができるだろう。当時、私は役者と話をすることがとても苦手だった。たとえば私の最初の主演女優ヒサノなどにも、私の怒りを分かり易い言葉で伝えることができていれば、あのような早い別れはなかったのではないかと思う。

里美、マチャ、いつか私にチャンスをちょうだい。大人の女たちの芝居が創れればいいなあと思う。二人とやれるまで、女芝居はとっておくから。

二人ともEricoからの電話を喜んでくれたそうだ。マチャは稽古場に遊びに来ると言う。私にはそれだけで十分である。今はまだ。

さーて、役者に関しては心残りをそこそこ解消できているぞ。ゴローとも会えるようになったし。一哉には還暦記念の芝居を創る。

そうそう、皆様興味津々の匡人に関しては、当方に負い目は微塵もない。それに匡人には昔から言いたいこと言ってきたからだろうか、あんまりモヤモヤしたものがないのだ。「このモヤを晴らしてサッパリしたい」みたいなものがね。ただストレートに、私は怒っている。

 

さて、もうほかに、会いたい大昔の役者はいない。会いたくない役者ばっかだ。

| 羽生まゆみ | 2020玉組会議 | 18:07 | - | -
一哉が「夏に打て」と言う

第2回、2020玉組会議の打ち合わせ。at 西新宿。

玉組会議の議長は麻理枝だが、その麻理枝が発熱で欠席し、第2回目会合は議長抜きの打ち合わせとなった。

役職なしのヒラ三人の会合となったが、それでもいろんなことが具体的に決まってきた。コヤも来週支払いを済ませれば正式に決定する。そしたらすぐにここで発表しようと思う。もっと発表したいこともイロイロあるのだが、あんまり調子に乗ると議長に怒られそうなので我慢する。

役者のオファーもそろそろ始まるのではないかと思う。(これに関しては私は関知しない。役者に頭を下げるなんぞ真っ平ごめんだ)

本格的に始まるのは資料がそろってからだが、Ericoは渡辺一哉にはとっとと電話したらしい。古い玉組ファンなら一哉の出演はおおいに喜ぶはずだけれど、残念ながら出演は叶わなかった。一哉がダメであろうことは想像できていたので残念ではあったがすぐにあきらめもついた。

ホテルでバイトをしている一哉は12月だけはどうしても芝居が入れられないのだ。

Ericoは一哉に叱られたらしい。

「12月はダメだっていつも言ってるだろ! 夏にやれ」

「夏は私が忙しい」

そうなのだ。夏はEricoが忙しい。しかし私としてはEricoより一哉を取りたい気分だ。次にやるとしたら夏だな。

しかも一哉は、「還暦記念に羽生さんの長ゼリ喋りたいから準備させておくように」とEricoに言ったらしい。

私は仰天した。

「還暦? 還暦っていったい一哉いくつよ?」

Ericoと勘定したがまだまだずっと先である。

「ダメだ。私が生きていない」

「しかも一哉さん、そのときはルナティックの橋沢座長と一緒に出るって言ってました」

「橋沢さん? なんでいきなり橋沢さんの名前が出てくるのよ」

どうやら私は一哉と橋沢さん用に二つ長台詞を準備しておくことになったようだ。よくわからないがなんだか嬉しい。

久し振りに一哉と話して楽しかったとEricoは言っていた。元気が出てきたと。

「一哉さんはやっぱり大人だわ」

それからEricoは続けた。

「明日羽生さんに電話するって言ってました」

「えっ」

「それで前もってそのことを羽生さんに伝えておいた方がいいと思って今日電話したんです。だって動揺するでしょ?」

「・・・・・・」

する。動揺して思わず電話に出てしまうかもしれない。これで落ち着いて居ないふりができる。

「うん、ありがとう」

「話したらきっと楽しいですよ」

「うん」

そうなのだ。それはわかっている。話したらきっと楽しい。

いずれにせよ、一哉とまた仕事ができるかもしれない。夏に打てば可能性はあるし、私が生きていて一哉60歳の時に打てば、自分から言い出しているのだからこれは絶対である。しかもこの時は「ああルナティックシアター」の橋沢座長が付いてくる。しめしめではないか。

 

一哉、私の長ゼリを喋りたいと言ってくれて嬉しいよ。

口にしちゃったんだからね。私はこういうことにかけては執念深く覚えているよ。

| 羽生まゆみ | 2020玉組会議 | 21:47 | - | -
年賀状のこと

年賀状という習慣を地道に続けている。

私はほとんど友人知人と「会う」ということをしないので、年賀状のやり取りがなかったら過去の知人は完全に抹殺ということになってしまう。

高校や大学時代の友人、最初に所属していた劇団仲間などと微少ながらまだ繋がっているのは、年賀状のおかげである。彼らとはもう数十年会っていない。喋ってもいない。メールも手紙も出さず、ただ年賀状だけの付き合いである。

だから年賀状があってよかった。私は思い出コレクターではないので、手紙や役者の頃の台本などほとんど捨ててしまっていて、過去を思い出す「よすが」というものがまるでない。思い出さなければ全てが忘却の彼方、無かったことと同じになってしまう。それはちょっと悲しいではないか。抹殺は悲しい。

高校時代の友人から年賀状が来ればその瞬間、校舎の階段が頭に蘇ったりする。役者時代の仲間の年賀状は稽古場の匂いがする。そんなわけでお正月、ハガキをめくりながら、大昔にタイムスリップするひとときが好きだ。

 

この頃は、年賀状の赤ちゃんの写真を楽しみながら見るようになった。若い頃は元同級生の息子や娘に何の関心もなく、子供の写真を年賀状に載せるという発想がどーにも理解できなかった。(もっとも私は自分の写真を載せてきたので、送りつけられた多くの人が「この発想、理解できない」と思っているに違いない。)

この頃赤ちゃんの写真が楽しいのは、それを生んだのが私の女優たちだからである。

「ええっ、ママになったか!」と、感慨深いのである。

赤ちゃんの写真をまじまじと眺めてしまう。とても楽しい。

旧友の子供の写真に関心がなかったとはいえ、それでも生まれた時からずーっと成長ぶりを見てきた(写真だけで)わけだから、彼が結婚したと聞けば「おお、そうか」とこれもまた感慨深くないこともない。

で、結婚したならこれでそろそろ息子の写真を載せた年賀状も終わるなあとしみじみしていたら、今年は孫の写真であった。

「げげっ、また1からかいっ」

長い長い成長を、私はまた1から見守ることになった。

 

そして私は私で相変わらず、私自身の写真を送り続けるだろう。

成長はもう止まったけど、一年一年美しくはなっていくよ。

 

たぶん。

 

| 羽生まゆみ | - | 22:50 | - | -
2020玉組会議

さあ、年が明けた。

元旦はお餅を食べたり、ピザを食べたり、ポテチを食べたりしながらダラダラと過ごした。ポテチを食べるのに後ろめたさがないのはお正月だけである。あー、お正月ってステキ。

2日は増上寺と神田明神のハシゴをした。健康を祈り、良いホンが書けますようにと祈った。正真正銘の神頼みである。猿回しも見た。

3日は大掃除。なぜ年末ではなくお正月にすることになったのか忘れた。

運動は5日から始めた。まずパーソナルトレでバーベルを上げたり背負ったりし、6日7日とサンドバッグを叩いた。しかし8日があまりにも寒くてジムへ行く気にならず、続けて本日も行く気にならなかった。とりあえず家でプッシュアップ100回やってお茶を濁した。ま、いっか。来週から頑張る。

 

劇場探しを始めた。たぶん今日下見をしたコヤで決まるのではないかと思う。予定していた規模の芝居よりかなり小さくなるが、なにしろ雰囲気が良くて、ここでやりたいと思った。コヤ主さんたちが自らの手で創った手作りのコヤだと言う。なるほどね、素晴らしい。

セットも立てられない小さな小さな芝居になるだろう。でもEricoが「パンプルムスで始めたんだから」と言い、私も本当にそうだと思った。いいかもしれない、初心に戻る頃合いだ。

昨年はライブハウスの公演だった。次は少しは大きなコヤで、リアルセットを立てて打つつもりだったけれど、次の公演で赤字さえ出さなければその機会はまたあると考える。機会があると信じたい。

 

下見のあと食事をしながら打ち合わせ。

制作チームの名前は「2020玉組会議」とする。現在のメンバーは私とまりえとEricoとKAZUHO 。いずれ山中さん他が加わることになると思う。KAZUHOが正式にスタッフとして名前を連ねた。ありがたい。KAZUHOが横に居てくれれば私は誇り高くいられる。玉組を立ち上げた頃の誇りを、私は少し取り戻すことができるだろう。

さて、羽生ノートもなるたけ更新してゆきたい。これまで公演については「はっきり決まらないと公表しない」の方針だったけれど、今回は「はっきり決まっていなくても口にする」でいこうと思う。今日の書き込みのように。

 

最後になりましたが、みなさん、本年もよろしくお願いいたします。

たくさんの幸福を祈りつつ、今年最初の書き込みでした。

| 羽生まゆみ | 2020玉組会議 | 23:36 | - | -
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